財調158億円 合併して20年で3倍以上に その仕組みを加筆

財政調整基金の推移(グラフ)
財政調整基金の推移

 太田市の何にでも自由に使える貯金である財政調整基金(財調)は2024年度末で158億円となる見込みで、合併した2005年度末の3.22倍にも膨らむことになります。今年3月末に専決処分(※)された補正予算で明らかになりました。

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財調 当初予算見込みの2倍以上増えたことも

 なお2025年度末の財調基金残高は当初予算見込みで89億円とされてはいますが、補正予算で思い切った歳出の増額をしなければ、当初予算見込みより大幅に増えることは、ここ数年の傾向から明らかと言えます。

 ちなみに2024年度末の基金残高は、当初予算では年度末に94億円の見込みとされましたが、前述のとおり3月専決補正予算で158億円の見込みとされています。

 そして2020年度末の基金残高は、当初予算では年度末に44億円の見込みとされましたが、決算(確定値)では96億円となりました。

 結論として言えるのは、合併して20年間に財調が毎年数億円、この10年間では年に10億円以上増えた年度もあったことから、ここ数年間の当初予算での財調からの繰入30数億円から40数億円、2025年度当初予算では69億円より20億円から30億円多い80億円から90億円を今年度2025年度は繰り入れ、2026年度以降も60億円から80億円は繰り入れしても財調残高は100億円程度を維持できると推測できるということです。

財調がたまる理由は

 財調がどんどんたまるのには理由があります。
 太田市は人口22万人の都市ですが、市立病院が一つもありません。公立(市立)介護入所・通所施設も一つもありません。公立(市立)保育園も一つもありません。公立(市立)の障がい者の居場所となる地域活動支援センターも一つもありません。公立(市立)幼稚園は1園しかありません。

診療所も老健も保育園も地活も幼稚園も次々民営化

 太田市は2007年度に市立浜町保育園を民営化。2010年度には市立藪塚本町国民健康保険診療所を民営化。2014年度には市立藪塚本町老人保健センターを民営化。2017年度には市立新田第一保育園、市立藪塚本町幼稚園を民営化。これで太田市には、公立(市立)保育園は一つもなくなってしまいました。そして2021年度には市立生品幼稚園、市立綿内幼稚園も民営化。これで太田市に公立(市立)幼稚園は藪塚本町南幼稚園の1園だけになってしまいました。さらに2023年度には、障がい者の居場所となる地域活動支援センター「尾島ぴっころ」、「新田ななくさ」も民営化。2024年度には、やはり地域活動支援センターである「太田」、「藪塚本町しゅんらん」まで民営化。これで太田市には公立(市立)地域活動支援センターは一つもなくなってしまいました。

 こうやって、本来なら民間施設の模範とならなければならない、自治体が責任をもって運営しなければならない医療機関や福祉施設を次々民営化し、運営費を削減してきた結果として毎年の歳出が浮いて財調を貯めこんできたのが太田市です。

自治体の責任を民間に丸投げ

 太田市は民営化で自治体の責任を民間に丸投げし、民間の模範となるべき市立施設をなくしたことで、民間による医療機関や福祉施設のサービスの維持・充実を停滞させ、民間施設で働く職員の処遇改善という自治体の責任も放棄してきたことになります。

 民営化にあたっては、元々市直営サービスだったことから、民営化後のサービスが低下しないように老朽化した施設の整備・改修をし、初年度だけは財政支援も行いましたが、市が責任を放棄したことは変わりません。

 民営化で犠牲となるのは市民。いわば市民を犠牲にして財調を貯め込んできたのですから、貯めこんだ財調は市民に還元、つまり市民の暮らしを守るために使わなければなりません。

職員削減 10年間で400人

 さらに太田市では、2005年3月28日の尾島・新田・藪塚本町と旧太田市の1市3町合併後、10年間で400人の正規職員を削減。そして正規職員の代わりに非正規職員(現在の会計年度任用職員)を増やしています。

 2年ほど前から非正規の会計年度任用職員の賃金を20~30%引き上げ、昨年度からボーナスも正規職員と同じ年4.6月を支給してはいますが、太田市製ワーキングプアを拡大してきたことになります。

物価高対策、公共交通、荒れた市道、汚泥がたまった側溝・用水路・調整池、医療・介護の負担軽減

 物価高対策や公共交通の充実、社会保険の3倍近い負担となっている高すぎる国保税、介護保険料や利用料の負担軽減、荒れた市道の整備・改修や半分以上も汚泥がたまった側溝、用水路、調整池のしゅんせつなど市民から切実に求められている要求・課題は山積しています。

たまった財調を有効に活用して

 今後は新しい市長のもとで、合併後に増え続けた財調を有効に使い、市民の暮らしを守り市民要求を実現していくことが求められます。私もそのためにみなさんと力を合わせて全力を尽くします。

専決処分

 議会に議案を出す時間がない時などに、市長など首長が地方自治法に基づき、議会に議案を出さずに決定する処分。今回の国保税限度額引き上げは、3月市議会の閉会後に国が地方税法施行令を改定したことを受けての専決処分。

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この記事を書いた人

役に立って、希望がもてて、楽しめるブログにしたいなぁ…と思いながら更新中です。

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