労務単価に基づく賃金が末端下請の労働者まで確実に支払われるように
国交省が決めた今年の群馬県の労務単価は普通作業員で24,800円。去年の群馬県の普通作業員の労務単価は23,700円でした。今年の引き上げで全国全職種単純平均で13年連続の引き上げ。今年は全国全職種単純平均で前年度比6%の引き上げとなります。
大事なことは、この労務単価が末端の下請業者の労働者まで確実に支払われるようにすることです。
ところが実際には、公共工事は入札によって落札業者が決められ発注されるため、決められた労務単価のうち労働者に支払われるべき賃金が末端下請業者の労働者まで確実に支払われない心配が常に生まれます。
こうした問題を防ぐために、国交省大臣官房長や公共工事を発注する国の機関の課長などで構成する「中央公共工事契約制度運用連絡協議会」(公契連)が入札で設定する予定価格や最低制限価格のモデルを設定しています。最新の公契連モデルは2023年モデルで、太田市も2022年度から最新モデルを使い入札の予定価格や最低制限価格を設定しています。
ちなみに太田市は2021年度までは2013年の公契連モデルを使っていましたが、私や他の議員が繰り返して求めた質問にやっと応えたのが2022年度からでした。
しかし公契連モデルが最新でも、決められた労務単価のうち労働者に支払われるべき賃金が末端下請業者の労働者まで確実に支払われない問題は起こりえます。こうした問題を防ぐためには、自治体の入札監視委員会による調査を強めることが求められます。
価格だけでなく、実績・市内下請活用も評価して落札業者を決める総合評価落札の活用を
同時に、落札業者を価格だけで決めずに、過去の公共工事の品質や技術者の信頼性・継続雇用・教育・成績なども評価項目に加えて落札業者を決める総合評価落札制度の活用も求められます。
なお太田市の総合評価落札制度では、前述の評価項目に加え市内下請への発注率・発注額・資材調達などの実績も評価項目に加えています。ただし問題は、太田市では総合評価落札による入札がほとんどなく、2019年度から2023年度までの5年間で総合評価落札による入札は2021年度の1件にとどまっています。
公共工事に独自の最賃を
国交省が決めた労務単価には事業主が負担すべき人件費(必要経費)は含まれません。したがって下請代金に必要経費を計上しない、下請代金から必要経費を値引きすることは不当行為です(資料3)。
労務単価の他に事業主が負担すべき必要経費とは、法定福利費(事業主負担分)、労務管理費、現場作業にかかる経費(安全管理費等)などです。
こうした不当行為を防ぎ、末端の下請業者まで労務単価に基づく賃金が支払われるようにするには、自治体が独自に公共工事における最低賃金を設定し、それを活用する総合評価落札による入札を増やすことが求められます。
関連資料

●令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について(国交省ホームページ)
●令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について(国交省ホームページ)