
太田市3月議会・本会議最終日の3月14日に、2018年度一般会計、後期高齢医療、介護保険、下水道の予算に対して行った反対討論(要旨)は次のとおりです。
なお八王子山墓園会計予算には、新年度から低負担の共同納骨堂の利用が始まることを評価して賛成。国民健康保険会計予算にも、2012年度からの1世帯平均1万2,000円の国保税引き下げが継続され、新年度も国保税が値上げされないことを評価して賛成しています。住宅新築資金貸付、太陽光発電の予算にも、特に反対する理由がないことから賛成しています。
2018年度一般会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、下水道事業等会計の各予算における主な問題点を指摘して、反対討論を行います。
太田市予算に多大な影響をもたらす政府予算
最初に申し上げなければならないのは、太田市の新年度予算に多大な影響をもたらす政府の新年度予算案の問題です。
安倍内閣の5年間で、格差が拡大し、貧困が悪化しているのは言うまでもありませんが、大企業や富裕層の利益が大きく増える一方で、実質賃金は年額16万円も低下し、家計消費は22万円も落ち込んでいます。富裕層300人の株式資産が9兆円から25兆円に増える一方で、「金融資産を持たない世帯」が400万世帯も増加しました。いま必要なのは、この「格差と貧困」をあらためる予算です。
ところが政府予算案は、生活保護費の最大5%、平均1.8%の削減をはじめとした社会保障関係費の「自然増」分を1,300億円削減し、文教予算は4年連続削減、中小企業・農業予算も連続削減という、暮らしに冷たい予算となっています。
軍事費は6年連続で増額され4年連続で史上最高を更新します。アメリカの要求に応えるかのように、多額の兵器購入を計上したうえに、長距離巡航ミサイルの導入経費を初めて盛り込み、「敵基地攻撃能力」の保有に踏み出しました。
政府予算案がこうした国民犠牲を強いるものとなっているからこそ、安倍・自公政権の暴走から市民の暮らしと中小企業の経営を本気で守り応援するための予算が、いっそう太田市に求められることを申し上げるものです。
国保への財政補てんを2.6億円削減
そこで、太田市の2018年度予算ですが、4月からの国保の県単位化にあたっても、国保税の値上げを行わないために一般会計からの補てんを継続することは評価できるものと言えます。しかし、その補てんは、17年度の3.2憶円から新年度では6,000万円に縮減され、国保税の引き下げを求める市民の切実な声に十分に応えるものとは言えません。
学校給食費の第2子半額化や第3子以降の無料化、就学援助制度による入学準備金の入学前支給や、保育士確保のための市内で勤務する保育士への奨学金、奨学金の返済補助、住宅リフォーム補助や商店・空き店舗リフォーム補助、空き店舗家賃補助を継続する点は大いに評価できるものです。
公共バス 課題山積 土日祝日はやっぱり運休
公共交通の充実では、4月からのスクールバス8台を活用しての無料の公共バス路線の新設は評価できます。しかし、依然として土日祝日は運休とされることから、平日に働いている、マイカーを持たない、あるいは事情があってマイカーを持てない人の公共の「足」としては、まだまだ十分とは言えないものであることを指摘しないわけにはいきません。
さらには、デマンドバスである「おうかがい市バス」が現状で使い勝手に課題が残る点からも、自力でバスに乗り降りできない人や、バス停まで徒歩や自転車で移動できない人など交通弱者の「足」の確保という点でも、まだまだ課題が残ることを指摘し、今後は、こうした課題に対応するため、業者委託も含めて公共バス路線の充実とともに、高齢者タクシー券の発行や福祉タクシー券の発行枚数の拡充を求めるものです。
問われる公共事業のあり方
公共事業のあり方でも、指摘しなければならない問題があります。
わずか11キロメートルしか離れていない太田桐生・太田藪塚の2つのインターチェンジの間に進められているスマートインターチェンジの建設では、17年度当初予算段階で、周辺整備事業も含めて総事業費20.3億円、市負担5.8憶円を投じるとされた計画が、今議会でさらに周辺整備事業としての7,800万円の用地取得が上程され、取得する用地に具体的に何を建設するのかさえ決まっていないこと、そうした事業費の増額を受けての新年度予算であることを強く指摘するものです。
この間の不要・不急の公共事業が暮らしを守る市政の障害に
さらには、本来なら賃上げや安定雇用の拡大、下請単価の引き上げのために資金を使わなくてはならない社会的責任を負っているスバルからの9億円の寄付を受け、15憶円を投じて野球場が建設され、費用対効果の面でも問題のある、太田駅北口の美術館・図書館の建設に21.4憶円を投じ、太田駅南口の民間の再開発ビルには、国・県・市合わせて20.6憶円、市補助だけでも7.7億円を投じたことを、17年度までの事業だったとはいえ、改めて指摘しないわけにはいきません。
これらをやめていれば、国保税や介護保険料の引き下げ、学校給食費の引き下げ・無料化、公共交通政策のさらなる充実、長寿祝金の5年ごと支給・削減を中止したうえでの増額など、暮らしや広範な中小企業を応援する施策のための財源として活用できることを改めて強調するものです。
求められる賃上げ・安定雇用拡大
市民サービスの担い手である正規職員の人数では、今年4月1日の見込みは、行政職、消防職、教職員を合わせて1,435人と昨年より9人増員とされるものの、この間の給料や退職手当の削減を前提とした予算であることを指摘するものです。
同時に、今年の3月末で有期雇用(期間の定めのある雇用)の期間が5年となる人に適用される、無期雇用(期間の定めのない雇用)への転換ルールに関連して申し上げないわけにはいかない問題があります。
この無期雇用転換ルールは、公務員は適用除外とされますが、しかし非正規職員の場合は、何年働いてもいっさい昇給がないことを考えれば、太田市独自に非正規職員にも、民間労働者に適用される無期雇用転換ルールを適用することが求められることを強調するものです。
同時に、一昨年4月より、太田市の臨時職員の時給は、事務補助で900円と近隣他市より高い水準となりましたが、嘱託職員の賃金は据え置かれたままであり、毎年最低賃金が引き上げられていることからも、非正規職員の賃上げが強く求められることを指摘するものです。
後期医療会計
後期高齢者医療特別会計では、保険料が2013年度に値上げされたままであり、高齢者の負担を軽減する手立てが不十分であることを指摘するものです。
介護保険会計
介護保険特別会計では、新年度からの総額5億2,798万円(14.9%)の保険料値上げを指摘するものです。
保険料は、基準額の第5段階で年額63,000円から68,400円に5,400円(8.6%%)値上げされます。基準額よりすぐ下の第4段階では現行より年額200円(61,700円→61,500円)下がり、年金が80万円超120万円以下の第2段階では現行より1,500円(45,900円→44,400円)下がるものの、その段階以外では全て値上げとなります。
さらに申し上げなければならないのは、保険料や利用料の減免実績が年々減り続けていることです。
保険料の減免では、15年度、16年度が1件だったものが17年度は適用なし、利用料の減免では、15年度に2件だったものが16年度に1件に、17年度は適用なしとされます。
ここであえて申し上げるのは、この間、私の知るだけでも、窓口の担当者が、「保険料や利用料の減免制度はない」と言い切ったケースが3件あったということです。これは明らかな間違いですが、保険料や利用料の減免実績が減っているのは、こうした窓口担当者の間違った対応と無関係とは言い切れないことを強く指摘するものです。
下水道会計
下水道事業等会計では、2014年4月からの消費税8%増税をそのまま転嫁し、さらに昨年4月からの職員給与の削減を引き継いでいることを指摘するものであります。
以上、2018年度予算における、一般会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、下水道事業等会計の各予算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。