2014年度決算に反対討論‐太田市9月議会・決算委

市議団ニュース水野版/No21/2015年10月25日 

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 太田市9月議会・決算特別委員会最終日の9月16日に私が行った、2014年度太田市決算に対する反対討論(大要)は次のとおりです。

 なお日本共産党市議団が反対した決算は、一般会計と後期高齢医療、八王子山墓園、介護保険の3つの特別会計決算、水道事業、下水道事業等の2つの事業会計決算です。

 国民健康保険特別会計決算は、2012年度からの1世帯あたり1万2千円の国民健康保険税引き下げを継続し、そのうえで経済的困難から「高すぎて払えない」という人には無理のない分納相談に応じていることから賛成。住宅新築資金貸付、太陽光発電の2つの特別会計決算はとくに反対する理由がないことから賛成しています。


 2014年度一般会計、後期高齢者医療会計、八王子山墓園会計、介護保険会計、水道事業会計、下水道事業等会計の各決算における主な問題を指摘して反対討論を行います。

 最初に申し上げなければならないのは、2014年度は、8%への消費税増税という、8兆円もの国民負担増が押し付けられた年であるということです。

 加えて、「アベノミクス」による円安誘導によって、輸出大企業の利益が急増する一方で、中小下請企業は、円安による原料・資材価格の高騰を受け、消費税増税と合わせて依然として厳しい状況が続いているのが現状です。

 さらに労働者の賃金はどうかといえば、昨年、今年と安倍政権の要求で、大企業や一部体力のある中小企業が賃上げに踏み出したとはいえ、賃上げ率は消費税増税分の3%にも及びません。その結果、賃上げから増税や消費者物価上昇分を差し引いた労働者の実質賃金は、14年度まで4年連続のマイナス、14年度の実質賃金の下落は、前年度に比べて3%と、統計を取り始めて以来最大を記録しています。

 こうしたもとで、市民に最も身近な太田市政の果たす役割が、いっそう問われることになるということを申し上げるものです。

市税
92億円増、26.6%増
法人税
86億円増、249.4%増
大企業減税がなければ…


 そこで2014年度の太田市決算をみると、一般会計では、まず市税全体で前年対比92億円、26.6%の増収とされ、そのうち法人税収では、前年対比86億円、249.4%の増収とされます。しかし、この法人税の増収も、大企業減税がなければ、すでに前年度までに相当の法人税が収納されていたと考えられるものであり、その点でも、歴代政権による大企業優遇減税が本市の財政に及ぼしてきた影響は、大変罪深いものであることを改めて申し上げるものです。

職員・人件費削減

 次に指摘しなければならないのは職員と人件費の削減です。
 市民サービスの担い手である正規職員を削減し、2012年度から始まった退職手当の削減を完全実施し、正規職員の代替として非正規職員を増員する。そして、その非正規職員の賃金についても、近隣の埼玉、栃木に比べて低い水準のまま。業務委託や指定管理者制度による公共施設の民間委託を続けていることも合わせて考えると、市民サービスの質の向上に逆行することに加えて、景気回復に欠かすことのできない、国民の所得を増やすための、賃上げと安定雇用の拡大に逆行することを強調するものであります。

 14年2月の大雪によって甚大な被害を受けた農家への支援では、農業ハウスの被害に対して国5割、県・市で4割という復旧補助に加えて本市単独の補助も実施されたことは評価できます。

給食費1億円値上げ
リフォーム支援廃止
長寿祝金削減
おおたBITO
民間再開発ビルに補助金
スマートIC

 しかし子育て世帯への負担増となり、景気回復に逆行する1億円からの給食費の値上げや、住宅リフォーム支援の廃止、長寿祝金の削減を行いながら、切実に求められているとは言えない、費用対効果の面でも疑問の残る、太田駅北口のカフェ、図書館、美術館、ホールを併設する複合文化施設「おおたBITO」の建設に着手し、太田駅南口の再開発ビルへの補助金を交付し、スマートインターチェンジの建設にも着手したことは指摘しないわけにはいきません。

売れるかわからない産業団地
新野球場

 さらに、消費税増税や円安・物価高、社会保障の給付減・負担増による景気の失速が懸念されるもとで、売れるかどうかも不透明な工業団地の造成にも着手し、新たな野球場建設のためとして、富士重工から9億円の寄付を受けての、15億円を超えるとされる事業費が見込まれる新野球場建設まで進めていることも、税金の使い方が問われる問題であることを改めて強調するものであります。

 この新野球場建設は、先日の市長の議会答弁でも、富士重工が自ら野球の練習場をつくることが理想としながらも、富士重工から、9億円を寄付するから野球場をつくってほしいという求めに応えたものとされていることを考えても、富士重工の2次以降の下請業者から、野球場のために9億円を寄付するなら、下請単価を上げてほしいという声が私のところに寄せられていることを考えても、税金の使い方を考えても、とても認められるものではありません。

 さらには、今年の春闘で金属大手の組合側が提出した6,000円のベースアップ要求額が、消費税増税による物価上昇分を加えておらず、この春の富士重工のベースアップが、その6,000円を下回っていることを考えても、9億円は野球場建設のためではなく賃上げや末端の下請業者の下請単価の引き上げに使うべきであり、この点からも9億円の寄付を受けての野球場建設は認められないことを重ねて申し上げるものです。

財調は16億円増の82億円

 前年対比92億円の増収となった市税の使い方という点で、そして、2014年度末で16億円積み増して82億円を超えた財政調整基金の残高を考えても、消費税増税と円安・物価高、社会保障の給付減・負担増という国民生活への脅威が強まっているもとで、市民生活と中小業者の経営を守る施策が不十分な決算であることを改めて指摘するものであります。

後期高齢医療
保険料値上げを継続


 次に後期高齢者医療特別会計では、高齢者の負担を軽減し、必要な医療を保障できるかどうかが問われるものですが、保険料が2013年度に値上げされたままであり、負担軽減の手立てが不十分であることを指摘するものです。

八王子山墓園
墓地永代使用料を値上げ


 八王子山墓園特別会計では、昨年10月から、墓地の永代使用料を9月までの年額49万円から55万円に値上げしたことを指摘するものです。

介護保険
保険料値上げを継続
基金は5億円残して


 介護保険特別会計では、特養ホームの整備も、一定程度は進んでいるものの、入所待機者の根本的な解消にはつながらず、しかし保険料は値上げされたままであり、基金も年度末で5億円以上残していることを指摘するものであります。

水道・下水道
消費税増税


 水道事業会計では、包括業務委託が8年を経過したことを指摘し、命にかかわる水道水を安全かつ安定的に供給するという水道事業の性格を考えても、本市による完全な直営に戻すことが必要であること、下水道事業等会計でも、水道事業会計と同様に、消費税の増税を軽減する手立てを取らずに機械的に3%増税を行った決算となっている点もあわせて指摘するものであります。

 以上、2014年度決算における、一般会計、後期高齢者医療会計、八王子山墓園会計、介護保険会計、水道事業会計、下水道事業等会計の各決算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。

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役に立って、希望がもてて、楽しめるブログにしたいなぁ…と思いながら更新中です。

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