市長の「小さな政府」論-「民間にできることは民間に」と言いながら、民間に任せるべき仕事を次々

  太田市9月議会最終日の22日、市長は閉会のあいさつのなかで、私の決算にたいする反対討論を引用。「大きな政府」を望めば、いずれ立ち行かなくなってしまうと発言しました。

  市長は「小さな政府」論者ですが、私の求める暮らしと雇用、地域経済を守る市政が「大きな政府」だと言いたいようです。

  清水市長のいう小さな政府とは、民間にできる仕事は民間に任せる政府・自治体ということのようです。

  しかし、それでは、できるだけ仕事をしないのがよい政府・自治体ということになります。

  職員を減らさず、非正規職員を正規職員にし、賃金を下げず、負担の軽減と市民サービス拡充に取り組むのが大きな政府であり、いずれ財政破綻につながるという市長の持論が見えてきます。

  「大きな政府=バラマキの政府・自治体」と言わんばかりですが、私は必要な仕事をせよと求めただけです。

  清水市長は、この間、「民間にできることは民間に」と言いながら、自治体が行うべきではない、民間に任せるべき仕事を次々に実施。

  しかし、そのなかには、採算が取れず、すでに中止した事業もあります。

  最近では、市立太田商業高校の中高一貫校化。さかのぼると小中高一貫の英語教育特区校や旧ヨラッセ(地ビールレストラン・現ダニエルハウス)、BBCO(インターネット接続会社)、OICT(太田国際貨物ターミナル)などがあげられます。

  市長の発言と実際の市政運営そのものが矛盾しているように考えるのは、私だけではないはずです。
  みなさんは、どうお考えになりますか。

中高一貫校

  市立太田商業高校の中高一貫校化は、今年12月議会に設置条例案を提案するとされます。
  義務教育の中学校で、一部の特定の子どもたちを対象にした学校をつくり、そのために予算を使う。

  教育の充実というなら、市内の公立学校に通うすべてのこどもたちの教育の充実こそ優先すべきです。

  まさしく、民間の私学に任せるべき仕事であり、自治体が行わなければならない仕事ではありません。

GKA
(群馬国際アカデミー)

 資金のほとんどを太田市が出資してつくった私立学校。2005年設立。2004年からプレスクールを開設。正式名称は、(学校法人)太田国際学園「ぐんま国際アカデミー」。市のこれまでの税金投入は約7億円。小中高と12年間一貫して、算数、理科、芸術など一般教科を英語で学びます。
 GKAも土地、建物を市が04年から07年まで無償貸与してました。家賃、地代は年1300万円とされます。

旧ヨラッセ
(現ダニエルハウス)

  旧ヨラッセは、第3セクターの地ビールレストランとして1996年につくられました。
  市の催しなどでよく使われることから、市内の飲食店からは「民業圧迫」という声も聞こえています。

  今年5月からは増資によって、市の監査委員が代表取締役を務める企業が51%の株式を保有。名称をダニエルハウスと変更しました。

  市の保有株式を50%未満としたことで、旧ヨラッセ(現ダニエルハウス)は市の監査対象から除外されました。

  旧ヨラッセの事実上の経営権は、市の監査委員が代表取締役を務める企業に移りました。

  市の監査対象から除外されたことで、市の監査委員が旧ヨラッセの事実上の経営権をもつことは問題ないと市当局は説明していました。

  しかし、旧ヨラッセの増資は、市の監査委員が代表取締役を勤める企業に経営権を移すことを目的としていたことから、私ばかりではなく保守系の市議も問題視。

  結局、市の監査委員は経営する企業の代表取締役から退きました。
  しかし、これで本質的な問題が解決されたわけではありません。

  市の監査委員が旧ヨラッセの事実上の経営権をもつための増資であった事実は消えません。

  市の監査委員が、市の監査対象となる第3セクターの経営権をもつことは許されません。
  旧ヨラッセの増資は、こうした問題を回避するためだったことは市長も認めています。

  しかし、こうした手法が、政治的・道義的にも大きな問題があることはいうまでもありません。

  市の監査委員が、旧ヨラッセの事実上の経営権をもつことになった企業の代表表取締役を退いても、政治的・道義的責任はなんら変わるものではありません。

  市の監査委員が、代表取締役から退いた企業のいっさいの経営権を放棄しても、政治的・同義的な責任を免れないことはいうまでもありません。

  問題を解決するには、市の監査委員を退くしかありません。

  今回の一連の問題は、旧ヨラッセの経営が悪化していることから
、今後、市が赤字を補填することのないよう、経営責任を市以外に移そうとしたことが発端にあります。

  しかし、旧ヨラッセが第3セクターである以上、市には、その経営に対する責任がつきまといます。

  仮に、旧ヨラッセのいっさいの経営権を譲渡しても、賃金など労働条件や処遇など労働者や下請・納入業者にたいして不利益がもたらされた場合は、第3セクターである以上、市の責任は免れません。

  今後も監視を続けなければならない重大な問題です。

【※第3セクター】  地方自治体と民間企業が共同出資する株式会社、財団法人、社団法人などの総称。「3セク」とも呼ばれます。
 第3セクター方式を活用した事業方式は、好景気や1987年のリゾート法制定などを機会に全国に拡大しましたが、コスト意識の希薄さや甘い事業見通しなどから多くが経営悪化に陥りました。

BBCO
(ブブコ)

 第3セクター。2001年設立。正式名称は、(株)ブロードバンドシティ太田。インターネット接続事業を行ってきた会社ですが、市の出資金や市が無償貸与した機器材の費用は合計約2億円。
 2008年11月末で、顧客の減少を受けてADSL事業から撤退。2009年中に解散しました。なおBBCOは市庁舎内にあり、市職員が従事していました。当然家賃はタダでした。

OICT
(オイクト)

 第3セクター。1999年設立。正式名称は、(株)太田国際貨物ターミナル。

 OICTはいわゆる税関を配置した内陸の港(保税蔵置場)ですが、本来なら企業が自らつくらなければならない流通ターミナルです。用地造成費や社屋・倉庫などの建設費の合計10億5,000万円をすべて太田市が丸抱えで負担しました。

  OICTは現在まで土地も建物も市が無償貸与していますが、家賃や地代を徴収するなら年3,600万円ほどとされます。
 
OICTへの税金投入は2000年からで、家賃、地代の無償提供も2000年からです。


※参考までに、OICTもBBCOもGKAも以前の社長(理事長)は清水聖義氏(太田市長)でした。

太商・中高一貫校化、09年度決算を質疑-太田市9月議会/2010年9月7日/本ブログ
OICT用地購入に4億8千万円-6月14日に議案質疑/2010年5月30日/本ブログ
太田商業・中高一貫校化は中止を/2010年5月30日/本ブログ
自治体がやるべき仕事/自治体がやるべきでない仕事/2009年3月13日/本ブログ

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コメント

コメント一覧 (6件)

  • 今回は正論
    共産党員市議という立場からではなく、市民視点からの異議を唱えることは多くの市民の賛同を得られると思う。ご健闘を!!

  • ありがとうございます
    駒田雅史様

    コメントありがとうございます。
    これからも市民の視点を忘れることなく、市民も暮らしと利益、地域経済を守るためにがんばります。

    今後ともよろしくお願いします。

  • 無料バス 運行
    祖母、母の生まれ育った土地 新田郡

    今は 太田市に合併されたが 

    そんなに 悪政がされていたとは 

    思いもよりませんでした 新田には 高齢者が

    多いので 役所、病院に行く無料バスの

    運行を望みます。

  • 無料バス
    下山初美様

    コメントありがとうございます。

    太田市では今年の4月から、75歳以上と障がい者など交通弱者を対象とした無料のデマンドバスを運行しています。

    太田市のデマンドバスは、市内での買い物、医療機関、最寄り駅までを、ドアからドアまで送迎するもので、よいことではありますが、太田市の場合は問題も少なくありません。

    まず、土・日・祝日が運休で、平日の運行時間も9:00から16:00までと限定されています。

    さらにデマンドバスの運行によって、それまで市内で11路線あった公共バスを2路線まで削減したことも問題です。

    私は、今年3月と6月の市議会で公共バスを削減から充実に転換するよう求めています。

    しかし、いまだに改善はありません。
    ひきつづき、市民の足を確保するためがんばります。

    なお、残った2路線は尾島、新田線ですが、これも4月からは土・日・祝日を運休としてしまいました。

    2路線のバス料金は、大人200円、高校生以下と60歳以上が100円となっています。

    高齢者を「75歳以上」と限定することをやめさせることと合わせて、公共バスの充実に、引き続き取り組みます。

    詳しくは、私のブログをご覧ください。

    http://blog.goo.ne.jp/m-mzn/e/75e3515236f1ef5c8f8cf7f5b25429f6

    http://blog.goo.ne.jp/m-mzn/e/8bd71820705952a6a85d4dfa33594875

  • どこも似てますね
    江戸川区の区長も、「小さな政府」をすすめる立場で、区立保育園の民営化を進めるなど、自治体としての責務を放棄するような政治をしています。

    江戸川区長は、図書館の民間委託すらしようと考えています。

    民間でできるからといってこれが住民にとって一番良いとは限りません。

    住民への責任ある公的サービス後退は地域経済の荒廃をもたらすものでしかありません。こんな地方政治は変えないといけないですね。

    来年のいっせい地方選挙では勝利しないといけないと改めて思うしだいです。

  • 必勝!
    ゲバラさん。
    コメントありがとうございます。

    今日は2中総でしたが、私たちは館林市議選の最終日で、視聴はできませんでした。

    来年のいっせい選挙では、民主党政権から住民の暮らしを守るため、自治体にその役割にふさわしい責任を果たさせるために、必ず勝利をつかみ取らなければなりません。

    今度こそ、自力をもっと強く大きくし、もてる力をすべて出し切れるよう、ともにがんばりましょう!!

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