
「権利を主張するのは納税の義務を果たしてから」と言う公務員が〝まれに〟いますが、その考えは明確な間違いです。
憲法3章 25条 30条
憲法の第3章「国民の権利及び義務」では、第25条で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、25条2項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。
そして第27条では、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」とあります。
さらに第30条では、たしかに「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」とあります。
「義務」と「権利」に優先順位はない
しかし憲法のどこにも、「権利は納税の義務を果たした国民に保障される」という規定はありません。また憲法のどこにも、「どんな時でも」「どんなに生活が苦しい時でも」「どんなに経営が苦しい時でも」「納税は義務」ともありません。さらに法律には、税の「減免」「非課税」の規定があり、「生活が成り立たなくなっても納税しなければならない」という規定もありません。
つまり憲法では、「納税の義務」と「権利の保障」には優先順位がないということです。
憲法15条 公務員は全体の奉仕者
憲法15条では「公務員は全体の奉仕者」とあります。全体の奉仕者である公務員が憲法をはき違えて、「権利を主張するのは納税の義務を果たしてから」と言うようでは、法治国家として成り立ちません。そんなことを言う公務員には、「憲法と法律・条令を当たり前に身に着けてから仕事をしなければならない」と言いたくなりますが、「義務と権利には順番はないから」と言っています。
公務員に限らず、社会の構成員の全員で忘れず身に着けていたいものです。