派遣ALTの処遇改善を

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同じALTなのに、直接雇用は賃上げしても派遣委託料は据え置いたまま

 9月議会では、派遣のALT(英語補助教員)の処遇改善を求めました。

直接雇用ALTは時給2,642円 
派遣ALTは単純計算で時給2,464円

 昨年12月議会では、非正規の直接雇用である会計年度任用職員のALTの給料やボーナスは人事院勧告に準拠して他の会計年度任用職員と同様に、賃上げがされ、ボーナスも年4.6月に引き上げられました。

【2024年】[人勧準拠前]
直接雇用(非正規)ALTの総支給額(控除前)
 2024年の直接雇用(非正規)ALTの人勧準拠前の総支給額(控除前)は次の通りです。
 月278,200円×12カ月+ボーナス2.4月=年4,006,080円。
 12カ月で割ると月333,840円。
 所定労働時間は、1日7.5時間、週5日、月20日勤務×7.5時間=月150時間。
 月333,840円÷月150時間=時給2,225.6円。

【2024年】[人勧準拠後=現在]
直接雇用(非正規)ALTの総支給額(控除前)
 2024年の直接雇用(非正規)ALTの人勧準拠後(現在)の総支給額(控除前)は次の通りです。
 月286,470円×12カ月+ボーナス4.6月=年4,755,402円。
 12カ月で割ると月396,283.5円。
 所定労働時間は、1日7.5時間、週5日、月20日勤務×7.5時間=月150時間。
 月396,283.5円÷月150時間=時給2,641.89円。

【派遣ALTの派遣委託料】
 派遣ALTの人件費、つまり派遣委託料は、2024年12月に人勧準拠せず23年の委託料に据え置いたまま現在も同額で、次の通りです。
 月あたり1人約30万円+社会保険料15%≒34.5万円×12カ月=4,140,000円(派遣委託料)。
 派遣ALTの所定労働時間は、1日7時間×週5日、月20日勤務×7時間=月140時間。
 月345,000円÷月140時間=時給2,464.29円(単純計算)。

派遣ALTは時給2,464円以下も

 ALTの賃金は派遣会社の利益、管理費を控除後の個別の賃金となるので、時給は当然、2,464.29円より下がると考えられます。下がらない派遣ALTがいれば、2,464.29円よりはるかに低い時給のALTがいて、それも大問題となります。

 市が派遣会社に払う派遣委託料から、派遣会社の管理費、利益を引けば、どう考えても派遣ALTの賃金は、直接雇用である会計年度任用職員のALTより低くなります。しかし仕事は同じ英語補助教員であるALT。直接雇用ALTは教員免許を持っているとされますが、それを言うなら、教員免許を持っている派遣ALTは、同一労働同一賃金の原則から直接雇用ALTと同じ賃金でなければなりません。しかし派遣法では、派遣労働者を個別に選べないため、個別の資格も確認できません。なにより、ALTは英語補助教員で、県の教員採用試験を受けていないため、教員の仕事はできないしさせられません。

 ALTは派遣も直接雇用と同じ時給にしなければ、同一労働同一賃金の原則に違反します。

 派遣ALTの賃金は派遣会社が決めるため、市は派遣ALTの賃金を直接決められませんが、だからこそALT全員を直接雇用としなければなりません。

 直接雇用ALTの正規雇用化も求められますが、まずは派遣ALTを直接雇用ALTと同じ処遇にすることが求められます。そのためには派遣ALTを直接雇用とすることが、同一労働同一賃金の原則からも求められます。

教育部長 
派遣ALTの賃金は労使協定で決めるもの 行政として設定する立場にない

 教育部長は、派遣ALTの賃金などは派遣会社と労働者が労使協定で決めていると認識していると答弁。行政として(派遣ALTの賃金など)条件を設定する立場にないが、ALTの役割の重要性を考え、今後も関係機関と連携をはかりたいと答えました。

 教育部長はまた、ALT全員の直接雇用化について、様々な国籍やバックグラウンドを持つ人材を対象とする特殊性、人材確保や病気などによる欠勤時の安定的な代替措置の確保、一貫した研修体制による指導力の維持など、派遣委託には多くの人事管理上の利点があると答弁。現時点では、派遣委託を続けることが教育現場の安定的運営に資すると考えていると答えました。

市教委は同一労働同一賃金の原則を度外視 
人材育成という考えもない

 教育部長の答弁は、同一労働同一賃金の原則を度外視するばかりでなく、病気などによる欠勤時のALTの確保や指導力維持のための研修など、本来市が果たすべき責任を派遣会社に丸投げするものです。

 ALTが病気になっても有給休暇を取っても、現場に影響が出ないような安定的な人材確保や人材育成は使用者である市の責任です。その責任を放棄し、病気や有給休暇で休めば替わりを派遣会社に求め、指導力維持も派遣会社に求めるという態度は、派遣ALTを機械の部品のようにモノ扱いするものです。

 そして、こうした答弁では、直接雇用ALTの時給が2,642円に対して派遣ALTの時給が単純計算で2,464円となる、同一労働同一賃金の原則に反している問題を放置することにもなります。労働者を人として扱い、コンプライアンスを徹底させるため、引き続き是正を求め続けなければなりません。



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