消費税減税、インボイス廃止を求める請願に賛成討論

 9月30日の太田市議会最終日の本会議で、消費税減税とインボイス廃止を求める請願に対して行った賛成討論(要旨)は次の通りです。

目次

日銀アンケート 
「ゆとりがない」60%超

 本請願は、消費税減税とインボイス制度廃止を求める意見書の政府への送付を求めるものです。
 国民は長引く物価高に苦しみ続けています。日本銀行「生活意識アンケート」(2025年6月)では、生活に「ゆとりがない」と感じる人が60%超にのぼりました。帝国データバンク「倒産集計 2025年上半期」によれば、12年ぶりに5,000件を超えた倒産企業の大半が中小企業です。群馬県内では62件が倒産し、昨年同時期に次ぐ過去2番目に高い数に上っています。

消費税増税に拍車をかけるインボイス

 こうした厳しい状況に拍車をかけているのがインボイス制度です。
 インボイス制度の実施によって、本来消費税の納税が免除される売上高1,000万円以下の小規模事業者やフリーランスが消費税の納税義務を負わされ、その負担に苦しめられています。

 人件費など付加価値に課税される消費税率が引き下げられれば、事業者の負担が軽減され、賃金引き上げにもつながり、インボイス制度が廃止されれば、小規模事業者やフリーランスの負担が大幅に軽減されます。

 住民のくらし、地域経済、地方自治体に深刻な打撃を与える消費税を減税し、中小零細業者・フリーランスなどを苦しめるインボイス制度の廃止は、物価高から暮らしと地域経済を守るための国民的課題だと言えます。

 STOP!インボイスが2025年3月に行った1万人アンケート調査では、インボイス登録により課税事業者となった事業者の90.8%が消費税に強い負担を感じていると回答し、97.3%がインボイス制度に「反対」と答えています。

 初めて1年分の消費税申告となった24年分は、4カ月分ですんだ23年分と比べて税額が4倍となり、「とても払えない」「廃業するしかない」と悲鳴が上がっています。

 同アンケートでは、「2割特例」「8割控除」など負担軽減措置が廃止・縮小される2026年10月以降の見通しについて50.2%が「不安」と答え、「廃業・転職を視野に入れている」(14.7%)を合わせると64.9%が「見通しが悪く廃業・転職を視野に入れている」ことになります。

 「2割特例」は、インボイス登録によって消費税の課税業者になる小規模事業者の負担を軽減する措置です。売り上げにかかる消費税の2割を納めればよいという仕組みのため、申告時の計算も比較的簡単にできます。
 2割特例の廃止に伴ってやむなく簡易課税制度を選択した場合、第3種から第6種に該当する事業者の消費税負担が激増します。

 そして「8割控除」は、課税業者がインボイスを発行できない免税業者と取引した場合でも、支払った額の8割分の消費税額は仕入税額控除できるようにする措置です。
 政府は26年10月1日から8割を5割に引き下げ、29年10月1日に廃止すると決めています。このまま実行されれば、免税業者の取引排除や値引き圧力が強まりかねません。

消費税減税は世界の流れ

 消費税減税は世界の流れでもあります。
 マレーシアは2018年の消費税の廃止後、景気が上向き、法人税や所得税の増収により財源を確保しています。
 ベトナムは、2022年から付加価値税の税率を10%から8%に減税した後も、その措置を4回にわたって延長し、2025年7月からは18カ月間継続することを決定しています。
 中国は、2024年12月から209品目の輸出製品に対する付加価値税の還付を中止しています。

 今年8月12日現在では、消費税減税は世界115の国・地域に広がっています。

不公平な税制をただせば財源はある

 消費税5%減税には15兆円が必要ですが、消費税に代わる財源の試算ですが、不公平な税制をただす会の試算では、 所得課税の総合類型化による増収額として、申告所得税で13兆1,932億円、 源泉所得税で12兆4,523億円、相続税で3兆9,413億円、法人税で26兆7,219億円、 住民税で1兆8,408億円の、合計58兆1,497億円税の増収が見込めるという試算もあります。

参院選では消費税減税を訴えた政党が多数に

 7月の参議院選挙では、物価高対策が最大の争点となり、消費税減税とインボイス制度を廃止するよう訴えた政党が得票・議席数とも多数となりました。消費税減税とインボイス制度の廃止を求める民意は明確と言えます。

公明党の委員 「気分が悪い」

 本請願を委員全員によって不採択とした17日の都市産業委員会での公明党の委員の発言にも言及しないわけにはいきません。

 私の趣旨説明が終わった後、公明党の委員は、請願者である東毛民主商工会が加盟する全国商工団体連合会が作成したビラについて、公明党が消費税減税に反対とあることに言及したと思われますが、「公明党は給付金と減税を求めている。気分が悪い」と発言しました。

 しかし公明党HPの政策関連ページのどこにも、消費税減税はありません。あるのは、所得税減税と「軽減税率の時限的な引き下げを主張する声もありますが…消費税率を下げることは…適切ではない」という記述です。

 請願の求めは所得税減税ではなく消費税減税、そしてインボイス制度の廃止です。公明党の委員は勘違いをしたのか、分かっていて断言したのかのどちらかとなります。

 公明党が実は消費税減税を求めているなら、請願には賛成したはずです。公明党の求めが消費税減税ではなく所得税減税なら、ビラに「気分が悪い」という発言はありえません。ビラには、消費税減税に反対している政党の一覧があり、反対している政党の中に自民党と公明党の二つの党が掲載されていることを改めて申し上げるものです。

 以上、消費税減税は物価高対策としての世界の流れであり、7月の参院選の結果からも消費税減税が民意と言えること、インボイス制度が中小零細業者・フリーランスの経営を脅かしていることを改めて強調して賛成討論を終わります。

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