太田市による不当な処分の取り消しと損害賠償のために昨年9月に職員が起こした訴訟は、第5回公判が7月3日にウェブで開かれました。
職員は太田市芸術学校で指導や指揮をしていましたが、兼業報酬の受け取りやヴァイオリン売却、パワハラ、セクハラなどを理由に2023年10月、参事から課長に1階級降格とされ今もそのまま。23年10月から12月までは3カ月間の停職(無給)処分を受けました。
5月1日には、6月12日の第4回公判を前に、裁判を支えるスタッフから聞き取った内容を掲載しましたが、今回もスタッフが話された内容(要旨)をお伝えします。
証拠の提出と主張
第5回公判は、原告の職員のこれまでの主張を補完するための証拠の提出や主張がされました。
今回は、ボリュームの大きい兼業・副業の問題を次回に送り、パワハラ、勤務時間の不足、バイオリンの売り渡し、セクハラへの反論を取りあげました。
特にパワハラでは、市はパワハラが処分の中で一番重い「停職3カ月」の唯一の要件だったという、とても不可解な主張を展開(公平委員会裁決)しています。
これは、他の問題が裁判で覆されても、パワハラ一つが残れば「停職3カ月」は残り、処分の変更をしなくとも済むという、公平性がとても疑われるような手法です。そのため今回は、パワハラにウエイトを移しての主張となりました。
パワハラへの反論
パワハラを主張したとされる当事者個人への反論となるため、詳細は掲載できないため要点のみをお伝えします。
①当事者の雇用契約上の「解雇」に相当する重大な命令違反が常態としてあり、その具体例を多数証拠として提出しました。
②解雇とならないための正当な指導でした。
③市は停職処分を出した理由をパワハラだけとし、いわゆる「パワハラ主張者一人に処分の責任を押し付けた形」となったため、個人の社会人としての問題を出すことにためらいはありましたが、やむを得ず雇用契約違反に抵触する事実を証拠として提出しました。
勤務時間不足への反論
①勤務時間中に帰ったとする証拠写真を検証しました。
②写真は17時15分にガソリンスタンドで給油と洗車をしている処分された職員の後ろ姿を盗撮していました。
③写真に撮影日時とスマホの機種が記録されており、それによると、芸術学校太田校から新田校へ混声合唱団の補講のために異動する途中での給油と分かりました。
④公用車での移動が本来原則ですが、公用車が用意されていないため、自家用車での移動となりましたが、これは正当な勤務中における移動途中の給油と洗車です。
⑤盗撮者が職員であれば、原告の職員が勤務における移動と承知していながら、その事実を伏せて「勤務時間中に帰宅した証拠」として提出したことになります。
⑥証拠の捏造であれば別の問題になります。
ヴァイオリン売り渡しへの反論
①すでに公平委員会で「処分された職員は金銭管理に関与はなく、非違性はなかった」と判定されています。
②処分当時、その職員の責任だと誤った主張をしていた「金庫の現金保管状況」の証拠とされるものがあまりにも不自然なので、それを証拠とした経緯など、さらなる詳細説明を要求しました。
セクハラへの反論
①被害者とされる当事者が否定した時点で、すでに違法性はなくなっているます。
②「セクハラの噂を聞いたと報告された」という市の主張も不可思議なものですが、当事者に事実確認もしないで処分に至ったこと自体が、そもそも不当だと強調しました。
③今後は、「セクハラ」の「噂」を報告した者の意図や処分に取り上げた者の狙いなどが問われることと思われます。
④個人(聞き取ったスタッフ)の所感ですが、パワハラ以外の三点については、停職処分の量刑に影響しないと言っても、市は処分時に、処分理由を報道機関に一方的に流したため、大変な名誉棄損が現在進行形で発生しています。主張が大きく対立していたにも関わらず、片方(市)だけの主張を垂れ流したのですから、これだけでも大きな問題と言えます。
全体を通しての裁判スタッフの所感
公平委員会から裁判までと、審議の回数を重ねるごとに市の証拠に対して、とても違和感が残りました。
処分直後に開かれた保護者や関係団体への説明会で、処分を先導していた当時の市の文化スポーツ部長は、一般三団体は「不正の温床」と決めつけていました。三団体に対して、とんでもない暴言です。
ヴァイオリンの売却も、備品の横流しや公金横領を想起させるように当時の文化スポーツ部長は説明していましたが、それらの根拠がとても「変なもの」として見えてきています。
関係者全員に送付すると確約した説明会での文字起こし資料は、市の弁護士の反対で反故にされていますが、いずれは、これも裁判を続ける中で証拠として要求していくことになると思います。
今後とも、一つずつていねいに真実を明らかにしてまいります。
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