一般会計・国保・後期医療・墓園・介護保険・下水道予算に反対討論-太田市3月議会

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2020年度太田市予算に対する反対討論(要旨・解説)/2020年3月18日 

 3月18日の太田市3月議会最終日に私が行った、一般会計・国保・後期医療・墓園・介護保険・下水道予算に対する反対討論(要旨・解説)は次のとおりです。

 一般会計予算には立憲民主党の神谷大輔市議も反対。国保・後期医療・墓園・介護保険・下水道予算に反対したのは共産党のみでした。住宅新築資金貸付・太陽光発電予算には全員が賛成しました。

 「議案第13号」、「14号」「16号」、「17号」、「18号」、「20号」、すなわち、2020年度【一般会計】【国保会計】【後期高齢者医療会計】【八王子山墓園会計】【介護保険会計】【下水道事業等会計】の各予算における主要な問題点を指摘して、反対討論を行います。

政府予算案

  最初に申し上げなければならないのは、太田市の新年度予算に大きな影響をもたらす政府の新年度予算案の問題です。

 日本経済はいま、消費税大増税による打撃に、新型コロナウイルス感染症による打撃が加わり、深刻な大不況に陥りつつあります。

 昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は、マイナス7.1%となりましたが、これは新型コロナウイルスの影響が出る前の数値であり、今年に入ってからの景気悪化はさらに深刻な落ち込みを示していることは、各種の指標からも明らかです。

 さらに、重大なことは、新型コロナウイルスの打撃が世界各国に及び、世界経済が重大な危機に直面していることです。
 国民の命と安全、暮らしを守り、目の前にある経済危機からどうやって国民生活を防衛していくか、中小業者をどう守るか、政治の責任が厳しく問われています。

 今回示された政府の対策では、労働者の休業補償は、賃金全額を支払って休ませる特別休業の場合、1日8,330円を上限として会社に助成金を出すとされますが、上限を超える分は雇用主の持ち出しとなり、保証はありません。

 フリーランスの人への所得補償制度では、「休校によって仕事に行けなくなった人」だけが対象で、1日4,100円にすぎません。

 今の大不況の原因をつくったのは消費税大増税であり、これを緊急に5%に減税することは、消費を下支えし、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への力強い支援策となることは間違いありません。

 社会保険料の緊急減免、納税の緊急猶予などを中小業者も対象に行うとともに、大企業の内部留保を賃金や中小企業への単価の引き上げに活用することはほんの一例です。

 連合の会長からも、「大企業は、将来の危機を理由に、内部留保を積み上げてきた。今回のコロナ拡大という危機にその内部留保を活用すべきだ」といいう声が出ていますが、当然と言えます。

 このように政府予算案が、有効な手立てを取ろうとしないものとなっている今、政府や県の出方を待っていては間に合わないことを強調するとともに、市民の命と安全、暮らしと中小業者の生業を本気で守るための予算が、いっそう太田市に求められることを申し上げるものです。

太田市予算案

国保税を値上げして財政補てんを削減

 そこで、太田市の予算ですが、一般会計では、国保会計への財政補てんを今年度より6,000万円削減することを指摘しないわけにはいきません。この削減は、昨年4月から国保税を1世帯平均8,000円、総額2.4億円値上げしたことによって、いわゆる赤字補てんが不要になったことによるものです。

 しかし国保加入者の置かれる現状は、年金削減や消費税10%増税に加えて、新型コロナウイルスによる打撃が、今後さらに厳しさを増すことが考えられます。

 一般会計からの赤字補てんを、一般会計844.6億円のわずか0.7%、6億円とすれば、1世帯1万円の引き下げができることを、改めて強調しないわけにいきません。予算委員会で市長が、子どもの均等割の減免を検討すると答弁されたことに大いに期待を表明し、18歳未満の子ども全員の均等割を減免するために必要な予算が1億円、一般会計予算の0.12%であることも申し添えるものです。

 予算委員会で市長はまた、飲食店の打撃に言及し、飲食店でも使える市の金券を市民に交付することを検討するよう担当課に指示していると答弁されましたが、暮らしと生業を守るという点では、さらに踏み込んだ対策が求められることを指摘するものです。

非正規職員
フルタイムをゼロに 一部職員の賃下げも

 働く労働者の暮らしを守るという点では、新年度からの会計年度任用職員の導入でも、申し上げなければならないことがあります。

 市と行政管理公社の非正規職員は会計年度職員への移行に伴い、現在フルタイムの非正規職員も含めて全員がパートタイムになり、これによって、745人は賃上げとなりますが、30人が賃下げとなります(市の非正規職員)(行政管理公社の非正規職員で賃上げとなるのは98人。賃下げとなるのは5人)。これでは、非正規職員の処遇改善という制度の趣旨に逆行し、本気で労働者の暮らしを守る予算とはいえません。

 今回の学校休校や公共施設の休館に伴う非正規職員の処遇でも、当初は全員が出勤し、賃金も通常どおり支払うとされていましたが、図書館司書が11日から(26日まで)休業となり、補償となる休業手当は、労基法が定める最低限の6割程度とされています。さらには、給食調理員や学校の介助員、用務員なども、今後は休業し6割程度の休業手当を支払うことが検討されています。

 元々、手取りで10万円をわずかに超えるか超えないかという低賃金の非正規職員が6割の休業手当では、事実上、生活保護と同水準となってしまうことを指摘し、通常どおりの賃金全額支給を強く求めるものです。

学校休校 中学校も登校可能に
給食も無料で提供を

 学校休校でも、その判断はやむを得ないものと受け止めてはいます。しかし、小学校で希望があれば登校可能としているなら、中学校でも登校可能としたうえで、保護者の心的・物理的・経済的負担が深刻化している現状に対応して、10日の国会での文科大臣答弁――学校での昼食――給食は可能で、すでに実施している自治体もあるという答弁を受け止めて、さらに、貧困家庭の子どもも含めて、子どもの栄養確保という健康管理上の観点からも、給食納入業者の収入減少を一定程度でも抑制するという観点からも、無料で学校給食を行うことも強く要望するものです。

ハコモノをやめて市民の命と安全、業者の生業を守る財源に

 こうして市に求められる課題を考えていくと、必然的にその財源をどう生み出すかを考えないわけにはいきません。予算委員会では時間の都合上、クレインサンダーズの本拠地と市長が宣伝してきた54.5億円・5,000人の体育館や1億円のスケボー場をやめれば、市民の命と安全、暮らしと生業を守る財源にできると強調しました。市長からは、スケボー場の建設は見直し・延期も検討したいという答弁もありましたが、改めて54.5億円の体育館に加えて、新田の複合公共施設やバスターミナル用地での交流物産館への補助、浜町・南口の再開発補助も中止、あるいは、せめて一時停止を行えば、市民を守る財源が生み出せることを重ねて強調するものです。

2020年度 一般会計予算:844.6億円
財政調整基金からの繰り入れ(取り崩し):44億円
財政調整基金残高
 2020年度末:44億円(見込)
 2019年度末:84億円(見込)
 2018年度末:117.8億円(10年間で2.8倍/05年度比2.4倍)
 2017年度末:96億円
 2005年度末:49億円(合併年度)

市税収入(19年度対比)
 個人市民税:マイナス3.6億円
 法人市民税:マイナス24億円

【新田地区複合公共施設】
 現時点では2022年度までに3.5億円で用地取得する計画

【バスターミナル用地に大雄建設がつくる交流物産館への補助】
 2020年度に2,500万円

【浜町・南口の再開発補助】
 2020年度に9.7億円(国補助4.7億円)
 浜町も太田駅南口も民間の個人(場合によっては複数の個人)が事業主体となって商業施設、立体駐車場を建設する計画。
 現時点では、事業主体は未定。それでも国に補助金申請が可能。
 [浜町]2020年度~2022年度で50.7億円の総事業費
  国補助:約15億円(市補助:約7.5億円)
 [太田駅南口]2020年度~2023年度で25億円の総事業費
  国補助:約7.9億円(市補助:約3億円)

小中一貫・義務教育学校
 課題解消の手立ても未確立のまま建設推進

 小中一貫・義務教育学校でも、この間私が指摘し、教育長も認める課題――教員の多忙化やそれによる子どもへのマイナスの影響を解消する手立てが未だに確立されないもとで、予算に15.6億円が計上されている建設をやめれば、父母の不安も教員のさらなる多忙化も子どもへのマイナスの影響も回避され、しかも、新型コロナウイルスの打撃から暮らしと生業を守る財源が生み出せることを強く指摘するものです。

ふるさと納税を使って私学GKAに補助金

 ふるさと納税を財源にした、にいたやま教育応援分交付金では、公立学校への交付金は、各校への配当では事実上寄附者の意向を尊重できないものとした私の指摘を、予算委員会で担当課は否定できませんでした。英語で授業をする私立の小中高一貫校、ぐんま国際アカデミー(GKA)への交付金だけが突出し、18年度決算で1,660万円と公立小中学校合計の27倍もの交付金(私立常盤高校には1.9万円)、つまり補助金となっています。GKAへのふるさと納税が寄附者それぞれの総所得の30%を限度とした寄附額から2,000円を引いた残りの10%が税額から控除される制度を考えても、にいたやま教育応援分交付金は、事実上は、税金を財源としたGKAへの補助金といえます。こう考えると、GKAには、これ以上補助金は出さないとした、06年4月臨時議会での市長の答弁に反する補助金といえます。

 このにいたやま教育応援分交付金という名の補助金も、きっぱり廃止することで、新型コロナウイルスと消費税10%増税で打撃を受けている市民の暮らしと中小業者の生業を守る財源にできることを指摘するものです。

公共交通 一定の前進はあっても課題を残す

 公共交通では、おうかがい市バスをドア・ツー・ドアとし、買い物支援の乗り合いタクシーや通院支援のタクシー券交付を始めることは前進と言えます。しかし、対象者を70歳以上の一人暮らしとするなど限定する点、おうかがい市バスで地区内・地区外と別料金とすることで、乗車距離が短いにも関わらず高い料金となるなどの課題を解決することが求められることを指摘するものです。

危険な民間ブロック塀に撤去補助
市営住宅は保証人不要に 市外からの入居も可能に

 新年度予算では、一昨年の私の議会質問から2年越しで実りましたが、危険な民間のブロック塀の撤去への補助(※補助率3分の2、補助上限5万円、予算枠100万円)を行い、市営住宅の入居では、こちらは、私が最初に議会質問をしてから10年越しで実ったことになりますが、連帯保証人を不要として、さらに市外からの入居も可能とするなど、評価できる前進もあります。

関東建設にあたたかい市政から
市民と中小業者にあたたかい市政に

 しかし全体を見れば、決して少なくない面積の農地を関東建設がすでに取得している区域を含む201haという広大な市街化調整区域を今年中に市街化編入する都市計画の変更を前提とする予算といえます。関東建設の利益のためという疑問・疑惑が消えないことを改めて、重ねて強く指摘し、関東建設にばかりあたたかい、やさしい市政はやめて、市民と中小業者にあたたかい市政・予算への転換が切実に求められることを改めて強調するものです。

※今議会では、関東建設とその関連会社、同社の社長が所有する土地を開発する際に有利な市道の廃止・認定も、日本共産党と立憲民主党以外の議員によって可決されています。

国民健康保険会計

 国民健康保険特別会計では、先ほど強調したとおり、今年度、19年度からの1世帯平均8,000円の値上げを継続することを指摘するものです。

後期高齢者医療会計

 後期高齢者医療特別会計では、保険料が2013年度に値上げされたまま継続され、18年度から始まった均等割軽減の段階的縮小が新年度にさらに進み、負担増がもたらされることを指摘するものです。

八王子山墓園会計

 八王子山墓園特別会計では、昨年10月の消費税10%増税を管理料にそのまま転嫁して、新年度も継続されることを指摘するものです。

介護保険会計

 介護保険特別会計では、18年度からの総額5億円(平均15%)の保険料値上げを継続しながら、基金は17年度末の7.7億円から19年度末見込みで7.8億円と積み増しが見込まれることを指摘し、基金を活用しての保険料引き下げが強く求められ、それが実行可能であることもあわせて強調するものです。

下水道事業等会計

 下水道事業等会計では、やはり昨年10月の消費税10%増税を下水道料金にそのまま転嫁して、新年度も継続されることを指摘するものです。

 以上、2020年度予算における、一般会計、国保会計、後期高齢者医療会計、八王子山墓園会計、介護保険会計、下水道事業等会計の各予算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。

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