9月市議会の本会議最終日となった10月3日、太田市における2011年度の一般会計、国民健康保険、介護保険、住宅新築資金貸付、後期高齢医療、八王子山墓園、藪塚老人保健施設、水道、下水道の各会計決算が可決されました。
日本共産党は、一般会計、国民健康保険、後期高齢医療、介護保険、水道、下水道の各会計決算に対して、渋沢ゆきこ議員が討論で問題を指摘し反対(いずれも賛成多数で可決)しました。
その他の決算には賛成(いずれも賛成全員で可決)しました。
9月26日から28日まで3日間開かれた決算特別委員会での私の質問や討論、議会最終日となった10月3日の本会議での渋沢議員の討論の内容は要約のうえ、見出しをつけて近日中に掲載する予定です。
今回は取り急ぎ、渋沢議員の討論の原稿をそのまま掲載します。
渋沢議員の反対討論は次のとおりです。
日本共産党の渋沢ゆきこです。
2011年度決算における議案第66号、67号、69号、71号、73号、74号、並びに議案第64号、65号すなわち2011年度の一般会計、国保会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、水道会計、下水道会計、の各決算と水道事業会計未処分利益剰余金の処分、下水道事業等会計資本剰余金の処分について、反対の立場から討論させていただきます。
まずはじめに人件費の削減について指摘させていただきます。
2005年の合併以降「職員適正化計画」という名のもとに、10年間で400名の職員を減らすということですが、2011年度もその計画に基づき、2010年4月1日で1,655名だった職員を、2012年4月1日では1,603名と52名の職員の削減が行われました。
そしてその代わりに臨時・嘱託職員や業務委託を増やしているということで、同じ仕事をこなしながら、賃金に差がついてしまうこととなり、官製ワーキングプアを生み出すことにつながりかねません。
いき届いた市民サービスを提供するという点から見ても、これ以上の職員の削減は認められるものではありません。
決算の答弁の中では、ケースワーカーは増員し、保健師は減らすことはないということでしたが、職員一人一人にかかる負担が加重負担にならないように、そして何より市民サービスの体制を保障するための職員の増員を求めたいと思います。
次に総務費ですが、2011年度に廃止となった5つの公民館について指摘させていただきます。
震災後に建物の一部に亀裂が入ったり、床がゆがんだということで改修不可能とされた5つの公民館ですが、結果的に住民の活動の場と交流や話し合いの場を奪ってしまったことになり、とても残念に思います。
建物自体老朽化しているので、修理して使うには、経費がかかりすぎて無理だということでしたが、今まで公民館を利用して活動していた方たちにとって、廃止後は、代わりに各地区の行政センターを使ってくださいと言われても、すべて行政センターに移動できるわけではありません。
今までサークル活動等で活動していた回数を減らしてして利用せざるを得ません。
耐震化基準を満たしていなくて危険だというなら、別の集会施設を整備していくことも必要ではないでしょうか。
公民館を利用していた団体の人たちの声、現場の人たちの意見をしっかり聞いて、その施設の今後について考えていくべきだと私は考えます。
それから、大震災後の2011年度は電力不足に対応するため、 節電に力を入れた年でもありました。
ですが各公共施設で節電の対応策として、中にはエレベーターや、エスカレーターが止まっている所もあり、利用が必要な人がすぐに利用できずに、そのつど職員を呼んで対応してもらうということになり、中には遠慮をして階段を利用し、腰や足に負担をかけしまう人もいるようです。
入浴施設のある所では、職員が帰ったあとの時間帯に利用者が多く、エレベーターを動かしてもらうのに警備の方にお願いするしかなく、他の業務の合間に対応ということになり、しばらく待たされるという話も聞いています。
度々言いますが、住民サービスの低下につながるようなことがあってはならないと指摘させていただきます。
住民の、特に弱い立場の人のサービスの低下にならないような節電を望みます。
それから、公共交通の問題ですが、やはり2011年度も、高齢者や、交通弱者のための施策としては満足できるものではなかったと言わざるを得ません。
2011年度は2010年度に引き続き、公共バスの路線が大幅に削減されたままで、デマンド式のおうかがい市バスは一定の評価はできますが、利用したい人が利用したいときに負担の少ない料金でという点からみて、市民の移動のための十分な足の確保ということにはならなかったと言えます。
2012年度から、おうかがい市バスは新しく再編され、公共バス路線も毛里田線として足利日赤行きの便が増便されましたが、今後なお一層の改善策が必要だと指摘させていただきます。
自治体の役割は、住民の福祉と健康の増進のために行政サービスを行うものであるということを基本に据えて、コストがかさむからやらないということではなく、たとえコストがかかるとしても、市民の生活に必要なことは自治体の責任でしっかりとした計画を立てて行っていくべきであると私は考えます。
つぎに民生費ですが、太田市として独自の子育て支援として、第3子以降の出産祝い金や、保育料の負担軽減措置、幼稚園就園助成金、などを行っている事は、評価できるところです。
それから教育費ですが、学校施設の耐震化は、2011年度末で耐震化率が 92.7%となったことは評価できるところです。
ですが、やはり小
中学校の暑さ対策としての工夫が2011年度から始めたグリーンカーテンとミストのみでは、子どもたちの学習環境を整えて健康に気を配るという点で不十分であったと言うことを指摘させていただきます。
私も何校か学校の様子をみてきましたが、それぞれ校舎の設計の関係で1階でもつる性の植物を這わすのに無理があるところもあり、とくに2階以上はグリーンカーテンは難しいと感じました。
学校関係者の話でも、グリーンカーテンの水やりは、自動給水だけでは足りないというのが現実のようです。
それから先日の決算の答弁からも示されたとおり、2011年度は熱中症関係として報告された件数が小中学校合わせて25件、2012年度の今年は猛暑だったこともありますが9月15日現在で37件と、昨年度よりも増えている状況です。
子どもたちがどんな環境の中で学習しているのかをしっかり把握して、現場の関係者の声を聴き、今後の対策を考えて欲しいと思います。
他の会派の議員からも、たびたび普通教室へのエアコンの設置を求める要望があるように、やはり小中学校へのエアコンの設置を順次進めていくようにもう一度考えてみて欲しいと再度指摘させていただきます。
それから衛生費ですが、予防接種事業で子宮頸がん等のワクチンの助成を行ったことは疾病の早期発見と予防のために評価できるところです。
同じく衛生費では、市民が望んでいた高度救急医療施設を備えた太田記念病院の建設ですが、やはり指摘するのは、この太田病院に34億もの多額の税金をかけて建設に協力したということです。
特定の病院の応援ということにもつながり、病院や診療所も含む他の医療機関へも、今後何らかの支援となるような施策も必要ではないかと考えます。
土木費では、住宅リフォーム支援事業を行い、畳や壁紙の交換、又はトイレや、キッチンのリフォームなどを希望する市民と、その工事を請け負う市内中小業者の両方から歓迎の声があり、経済効果もあったということで、大変評価すべきといえます。
商工費では、田園都市未来新田つまりニコモールに、無利子で5年据え置き、20年償還という破格の貸し付けがされたことを指摘させていただきます。
次に国民健康保険特別会計ですが、基金を4億円積み増しし、2011年度末の基金残高は9億円を超えるものとなったことを指摘させていただきます。
後期高齢者医療特別会計では、本市としてどれだけ高齢者の負担を軽減し、予防医療も含めて必要な医療を保障できるかが問われ、この点で本市の施策は不十分であったといわざるを得ません。
介護保険特別会計では、特別養護老人ホームに入れなくて、待機している方が2011年5月で768人もいるにもかかわらず、施設整備も思うように進まず、2011年度末で基金を8億2千万円も残したままということを指摘させていただきます。
水道事業会計では、市民の命に関わる水道事業を民間への包括業務委託として継続している限り、水道水を安全に、安定的に供給するという点で不安が残り、やはり本市による直営が望ましいと考えます。
下水道会計では、2010年度から下水道料金の値上げが行われ、2011年度も値上げされたままだったということを指摘せざるを得ません。
水道事業会計未処分利益剰余金と下水道事業等会計資本剰余金の処分については、その剰余金を生む結果となった各決算に先ほどの理由で反対するため、剰余金の処分についても賛成できるものではありません。
以上、2011年度における一般会計、国保会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計、水道事業会計、下水道事業会計における主な点を指摘して反対討論を終わります。
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