ALT 派遣も会計年度と同じ賃上げを

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ALT 派遣と会計年度の格差がますます拡大

 16日の太田市議会最終日の本会議では、人勧準拠で正規職員とともに非正規の直接雇用である会計年度職員も給料やボーナスを引き上げる議案に質疑。会計年度職員(直接雇用)のALT(英語補助教員)も賃上げがされながら、派遣ALTの派遣委託料が据え置かれる問題の是正を求めました。

 質問では、会計年度(直接雇用)ALTの現行と改正後の時給を明らかに。そのうえで、派遣ALT1人当たりの派遣委託料、派遣委託料から算出した時給、会計年度ALTの共済費(社会保険料の雇用主負担)も含めた時給を示して、拡大する一方の格差の是正を求めました。

 会計年度ALTの時給は共済費を除く総支給分では、現行の1,820円が改正後は1,875円(※画像参照)に。共済費やボーナスも含めた時給では現行の3,013円が改正後は3,150円に上がります。一方、派遣ALTの1人当たり派遣委託料は2023年から34万5,000円に据え置かれたまま。派遣ALT1人当たりの派遣委託料から算出した時給は2,677円のままです。

 なお会計年度ALTは1日7時間×週5日勤務で、派遣ALTは1日7時間×週5日勤務です。

 そして派遣ALTが派遣会社から受け取る給料は当然、34万5,000円から派遣会社の利益・管理費・福利厚生費を除いた額になります。

 2023年、2024年、そして今年2025年の人勧で会計年度ALTの時給は連続して引き上げられましたが、派遣委託料は据え置かれたまま。格差は拡大するばかりです。

同一労働同一賃金が大原則なのに

 質問では、同一労働同一賃金の大原則に従わねばならないと強調。さらに最賃引き上げ、といっても最賃引き上げは来年3月からの適用ですが、とにかく最賃が上がることで、派遣会社はALTの賃金を上げることになると指摘しました。

このままでは人材不足に

 質問ではさらに、もし派遣会社が賃上げをしなければ、ALTの別の派遣会社への流出も考えられること、市が派遣委託料を引き上げなければ、派遣会社が身銭を切るか、派遣会社が身銭を切るのを回避して賃上げをしなければ、市のALTが不足することも考えられると指摘。こうした事態を回避するためには、ALTの時給は直接雇用の会計年度も派遣も手取りを同額とするため、派遣委託料を引き上げるべきべきと迫りました。

教育部長 同一労働同一賃金は同じ雇用主の場合と誤認答弁

 教育部長は、同一労働同一賃金は雇用主が同一の場合と答弁。会計年度(直接雇用)ALTは日本の教員免許を所有しており、英語の授業をアシスタントだけでなく、メインとしても行えるため条件が異なると強弁しました。

同一労働同一賃金は雇用主が違っても大原則

 派遣法など労働法制では、同一労働同一賃金は同じ雇用主の場合という規定はなく、雇用主が違っても大原則であることを再質問で指摘しました。直接雇用ALTは日本の教員免許を持っていて、英語の授業をメインとしても行えるため、条件が異なるとした教育部長答弁にも反論。会計年度ALTの仕事は教員としての指導ではなく、あくまで英語指導の教員の補助と指摘し、教員免許を持っているから派遣より時給が高いというなら、派遣ALTも教員免許を持っているかどうか確認して、教員免許を持っている派遣ALTは、メインの授業も行えるのだから、会計年度のALTと同じ賃金にしなければならないと強調しました。

派遣ALTも直接雇用にすべき

 派遣ALTの賃金は派遣会社が決めるため、市では派遣ALTの賃金を決められないのが派遣法。そこで質問では、派遣ALTを直接雇用の会計年度職員とすることも要求。直接雇用の会計年度と派遣でALTの保有する資格が違うという教育部長答弁には、全員を直接雇用の会計年度職員としたうえで、保有する資格によって時給を決めればよいだけと反論しました。

 しかし教育部長は、派遣ALTの会計年度職員(直接雇用)化は考えないと答弁。様々な国の人たちをALTとして雇うという特殊性から、人材の安定確保や病気時等の代替え、充実した研修体制に伴う指導力の維持など人事管理における利点が多い派遣委託を今後も継続していくという答弁に終始しました。

このままでは受ける派遣会社がいなくなる

 教育部長は、ALTの派遣会社は入札に参加して、法令を守ってALTを雇用できる入札額で落札していると答えました。しかし今までは入札に応募する派遣会社があったものの、来年3月の最賃引き上げを受けて派遣会社が賃金を上げれば、次の市の入札では、市が示す予定価格では入札できないと派遣会社が考えて入札に応じてもらえないこともありうることを指摘。実際過去には市の入札に参加する業者がなく入札が不調になったこともあったことも強調しました。

少なくとも派遣委託料は会計年度と同水準に引き上げを

 質問では、派遣ALT の直接雇用化にすぐに踏み出せないなら、まずは派遣委託料の引き上げが必要と強調。それをしなければ、人材不足からALT事業そのものができなくなると指摘しました。教育部長も、派遣委託料の引き上げは、他市の状況もみながら判断すると答えたことも引用。まずは少なくとも、派遣委託料を会計年度と同水準に引き上げなければならないと市長に迫りました。

 市長は、直接雇用の会計年度と派遣でALTの格差拡大の懸念は理解していると答弁。しかし、どう格差拡大を改めるかには言及がありませんでした。

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