2024年4月から訪問介護報酬2%削減 介護事業所への物価高対策・処遇改善支援の再開を
3月議会の予算に対する総括質疑では、介護事業所への物価高対策・処遇改善支援の再開も要求しました。
厚労省の「ヘルパーの処遇改善加算を手厚くした」は実態と違う
質問では、昨年4月からの訪問介護報酬マイナス2%、処遇改善加算のヘルパーへのプラス3.1%に言及。厚労省の「ヘルパーの処遇改善加算を手厚くした」「訪問介護は利益率が高い」という説明が実態と違うことを強調しました。
そのうえで、県内で太田市も含め多数の訪問介護事業所を運営する法人からの聞き取りも紹介。訪問介護報酬の2%削減後、利用者を増やしながら減収を回避しているものの、ヘルパー稼働は1日5~6件で、30分~1時間未満の利用1単位で90円減収、10件で900円減収という実態を紹介しました。
処遇改善加算 要件は厳しく複雑
その法人では、ヘルパーは1日4~5時間の稼働。移動時間も含めると1日7~8時間の拘束になりますが、移動時間は介護報酬の対象外。その法人ではヘルパーも含め全職員の処遇改善加算を活用し、ヘルパーの賃上げは昨年で実額平均7,000円アップしましたが、処遇改善加算の要件は厳しく複雑とされます。
処遇改善加算を使ってもヘルパー不足は解消せず
処遇改善加算を使うには、10項目にわたる書類の提出など事務量がかなり増加するため、小規模の事業所では処遇改善加算を使えないところも少なくないとされます。その法人では処遇改善加算をヘルパーも含め全職員に活用していますが、ヘルパー不足は処遇改善後も変わらないとされます。
昨年4月からの訪問介護報酬2%削減後は、一人一人のヘルパーが2%削減前より訪問介護の回数を多くまわらないと2%削減以前と同じ収入を確保できないとされます。
厚労省の「訪問介護は利益率が高い」も実態と違う
厚労省は「訪問介護は利益率が高い」と説明していますが、実態は違います。利益率が高いのは、介護サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームなど、集合住宅型の施設の入居者を短時間に集中して訪問介護に回れる事業所に限っての話とされます。
聞き取った法人では、地域の利用者を一軒一軒、市街地から離れた地域まで個別に回っているので、移動時間まで含めたヘルパーの拘束時間が増えることもあり、人員不足は解消していないとされます。
事業存続の危機
質問では、県が介護事業所への物価高対策補助を2022~23年度に実施し、24年度分は25年度初めに実施予定であること、市は同じ補助を22~23年度に実施しているものの24年度に廃止したことを指摘。このままではヘルパーがますます疲弊し必要なヘルパーを確保できず、事業存続の危機という声が介護事業所からあがっていることを強調しました。
介護事業所全体を対象に物価高対策・支援、処遇改善加算の拡充を
こうした事態を打開する責任は国にありますが、市が物価高対策も含め現在実施していない介護事業所への支援・補助の再開・増額、市単独での処遇改善補助を求めました。
さらにヘルパーに限らず介護職員全体を対象に、介護事業所全体を対象にすべきと求めたうえで、訪問介護事業所とヘルパーへの補助は切実と指摘。人員不足解消には、ヘルパーなど介護職員1人1人の負担を減らし、疲弊しないようにすることが重要と力を込めました。
県が予定している補助を超える補助をと求めた質問に市長は、問題意識は同じとしながら、「県と並走して」市の補助を考えたいと答弁。介護難民を生まないため、介護事業所がなくならないため、国にも県にも市にも十分な公的給付・補助を求め続けます。
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