2019年度一般会計、国保、後期高齢医療、介護保険、下水道の予算に反対討論‐太田市3月議会
3月議会・本会議最終日の今日3月12日に、2019年度一般会計、国民健康保険、後期高齢医療、介護保険、下水道の予算に対して私が行った反対討論(要旨)は次のとおりです。
市政に多大な影響をもたらす国政
最初に申し上げなければならないのは、太田市の新年度予算に多大な影響をもたらす政府の新年度予算案の問題です。
まず指摘しなければならないのは、統計不正は予算の土台をほり崩すものであるということです。
問題の真相解明に背を向け、安倍首相が衆議院の予算委員会で、家計消費も実質賃金もマイナスだと認め、増税の根拠が総崩れとなっていながら、消費税10%増税を前提とした予算を衆議院で強行したことは絶対に認められるものではありません。
今の経済情勢のもとで10%増税によって5兆7000億円もの負担を押しつければ、家計にも経済にも大打撃を与えることは明らかです。軽減税率と称する緩和対策も8%に据え置くだけ。しかも、今ぎりぎりの生活をしている低所得者には、車やマンション購入時の減税措置などほとんど関係ありません。
また軍事費は5兆2574億円に達し、5年連続で過去最高を更新し、アメリカの有償軍事援助(FMS)に基づく兵器などの購入額は7013億円と過去最高。しかも、米国監査院から1000件近い欠陥が指摘されているF35を100機以上購入し、イージス・アショアを導入する米国製兵器の「爆買い」などは到底認められるものではありません。
政府予算案がこうした国民犠牲を強いるものとなっているからこそ、安倍・自公政権の暴走から市民の暮らしと中小企業の経営を本気で守り応援するための予算が、いっそう太田市に求められることを申し上げるものです。
財政補てん削減で1世帯8,000円の国保税値上げ
そこで、太田市の2019年度予算ですが、一般会計では、国保会計への財政補てんを、今年度より1.5億円削減することを指摘しないわけにはいきません。この削減によって、県から求められる国保の事業費納付金が1億円増加したことと合わせて、国保税で1世帯平均8,000円、総額2.4億円の負担増をもたらすことは、先ほどの国保税条例の改定で指摘したとおりです。しかし、一般会計からの財政補てんを、17年度と同水準の4億円とすれば、1世帯3,000円の国保税引き下げが可能であり、さらに財政補てんを、一般会計のわずか0.75%、6億円とすれば、1世帯1万円の引き下げができることは、改めて強調しないわけにいきません。
保護者の願いに背を向けて
現場から課題も指摘される小中一貫校に19億円以上
学校給食費の第2子半額化や第3子以降の無料化、就学援助制度による入学準備金の入学前支給を継続することは評価できます。しかし、小中一貫の義務教育学校を今年度から2年間で建設しようとする問題は、教育の充実という点でも、費用対効果、行政コストの増加という点でも、その計画の白紙撤回、一時停止を改めて求めないわけにはいきません。
この問題では、今月8日に、この計画の白紙撤回を求める1,567筆の署名が市長、教育長あてに提出されましたが、教育長は、白紙撤回はできないと答えました。
また市教委は、小中一貫校や義務教育学校では、中1ギャップやいじめ、不登校が減ったというデータが間違いなくあると言いますが、昨年、この計画が発表されてから現在まで、そうしたデータや資料は一切公表されてはおりません。
おそらく市教委が今後公表すると思われるのは、2017年3月1日の、文科省の調査結果だと思われますが、その調査では、たしかに、小中一貫校で、「大きな成果が認められる」、「成果が認められる」と答えた学校は、合わせて99%。また、「いじめが原因である問題等が減少した」と答えた学校は、73%。「不登校が減少した」と答えた学校は、60%。「いわゆる中1ギャップが緩和された」と答えた学校は93%とされています。
しかし、この調査では、学校ごとに、具体的に、どんな中1ギャップがどれだけ減ったのか、学校ごとに、いじめや不登校がどれだけ減ったのかという、小中一貫校になる前からの連続した科学的なデータはいっさい記載がありません。
そして、同じ2017年の文科省の調査では、「大きな課題が認められる」、「課題が認められる」と答えた学校は、合わせて53%。課題ではさらに、「小中の教職員間の打ち合わせ時間の確保」と答えた学校は64%。「教職員の負担感・多忙感の解消」と答えた学校は64%。「教職員間での負担の不均衡」と答えた学校は49%とされています。
さらに、国立教育政策研究所が12年6月に発表した「不登校・長期欠席を減らそうとしている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」の「「中1ギャップ」の正しい理解」」では、「中1ギャップ」は事実というより印象に基づく概念であり、言葉だけがひとり歩きし、それを解消すると称する取り組みが提案され、みんながうのみにするのは怖いとしています。
教育政策研究所の同じQ&Aでは、「小学校時に欠席や遅刻早退等の目立たなかった児童が、中学校一年生になっていきなり不登校になる割合は、20~25%程度にとどまる。不登校という基準で見ると小6と中1の間には大きなギャップ(不連続)が存在するかのようであるが、「不登校相当」という基準で見ると、むしろ連続性に注目した方がよいことがわかる」としています。
さらに、不登校は、中1になって急激に上がるのではなくて、小学校からの問題が出た結果であり、連続性に注目をした方がよいという分析となっています。
そもそも中1ギャップという言葉で過度に強調することは避けるべきということを指摘せざるをえません。
また15年8月の文科省・国立教育政策研究所の調査では、小中一貫校の課題として主に次の問題が報告されています。
①小学校高学年のリーダーシップを発揮する場が少なくなり自主性や積極性が育ちにくい。
②中1が小学生気分が抜けずに過ごすと,中2になって適応に問題を生ずる場合がある。
③小中合同の活動時に,小学生に合わせた表現や動きになり,中学生に必要な判断力や自主性を養う場が少なくなる。小学生と一緒の生活のために,学校生活と社会のつながりを意識したり,将来への志を持ったりすることが弱くなり,学習面,生活面ともに自主的・積極的な姿勢に欠ける場合がある。
④小中双方の授業を担当する場合には教材研究が増え,負担を感じる教員が出てくる。また小中の行事に 関わることにより体験活動や学校授業が増え,多忙感を持つ教員が多くなる。
以上が17年度の文科省調査による課題ですが、さまざまな課題が指摘されているのが小中一貫校であることに変わりはありません。
東小・韮西小・北中を残すより小中一貫校はコスト増
財政面、行政コストの問題でも、東小・韮西小・北中を残すと20年間の維持費は22億円。小中一貫校の20年間の維持費は14億円。その建設費19.4億円まで含めると小中一貫校のほうがコストが膨らむことになります。
「小中一貫校より、中学校での30人学級や市立小・中学校全体の施設整備を優先してほしい」ということが保護者の声であり、その課題こそ最優先であることを改めて強調し、税収・交付税を合わせて、今年度比15.6億円の減収となる予算であることも考えれば、小中一貫校だけを聖域にはできないことも指摘しないわけにはいきません。
保育士確保のための市内で勤務する保育士への奨学金、奨学金の返済補助、住宅リフォーム補助や商店リフォーム補助を継続し、空き店舗対策では、家賃補助に加えて新年度は空き店舗リフォーム補助を復活する点は大いに評価できるものです。
公共交通政策
高齢者タクシー券の発行こそ
公共交通では、昨年からのスクールバス8台を活用しての無料の公共バス路線の新設は評価できます。しかし、依然として土日祝日は運休とされることから、平日に働いている、マイカーを持たない、あるいは事情があってマイカーを持てない人の公共の「足」としては、まだまだ十分とは言えないものであることを指摘しないわけにはいきません。
さらには、デマンドバスである「おうかがい市バス」が現状で使い勝手に課題が残る点からも、公共バス路線の充実とともに、高齢者タクシー券の発行や福祉タクシー券の発行枚数の拡充を求めるものです。
ムダな公共事業より
暮らし・福祉・教育・子育て・中小企業応援を
公共事業のあり方でも、指摘しなければならない問題があります。
スマートインターチェンジの建設では、そもそも、たった11キロしか離れていない、二つのインターの中間にスマートインターをつくることそのものがムダですが、17年度当初予算で周辺整備事業も含めて総事業費20.3億円、市負担5.8億円を投じるとされた計画が、総事業費20.5億円、周辺整備事業も含めると、市の負担が7.7億円まで膨れ上がったことを指摘しないわけにはいきません。
費用対効果の面でも問題のある、太田駅北口の美術館・図書館の建設に21.4億円を投じ、太田駅南口の民間の再開発ビルには、国・県・市合わせて20.6億円、市補助だけでも7.7億円を投じておきながら、国保会計への財政補てんを増やすどころか削減し、国保税を値上げし、介護保険料の引き下げや、学校給食費の引き下げ・完全無料化、公共交通政策のさらなる充実、道路、側溝整備など地域からの様々な要望の実現に踏み出そうとしない予算であることを強く指摘するものです。
職員削減で残業が長時間化
有給休暇 月1日未満が14人も
職員の残業時間が長時間化し、有給休暇の取得日数でも、1日未満が14人となっている現状が予算委員会での質疑で明らかになりましたが、これはこの間、市民サービスの担い手である職員を削減してきたことが根本的な原因であることは間違いがありません。
非正規職員の正規化も含めて、民間委託や民営化の拡大ではなく、正規職員の増員によって、市民サービスを充実することの重要性を強調するものです。
2年後に幼稚園2園を民営化
ところが、2年後の2021年4月からは、3園残っている市立幼稚園のうち、生品幼稚園、綿内幼稚園の2園を認定こども園化して民営化する計画です。新年度は、4月1日から22日までに受け皿となる民間の社会福祉法人あるいは学校法人を募集するとされます。
2年前には、当時4園あった市立幼稚園のうち藪塚本町幼稚園をやはり認定こども園化して民営化。2年前にはさらに、当時市内で唯一の市立保育園、新田第一保育園も民営化。
公立保育園•幼稚園は、保育•教育の質でも職員の処遇でも民間のモデル、指標となるべきものであり、その民営化は地域の保育•教育の質の後退につながりかねず、処遇改善による保育士確保にも逆行することを改めて指摘するものです。
民間にできることは民間にと言いながら
民間がやるべきことまでやる市政
市長は「民間にできることは民間に」と言いながら、これまで民間がやるべきことまで市が税金を使って進めてきました。市が2億円の税金を投入しながら、設立後7年で閉鎖となった市立インターネット接続会社BBCO。10.5億円を投入して市有地につくった税関配置の流通ターミナルOICTは借地料もタダ同然。
さらには、英語で授業をする私立の小中高一貫校、ぐんま国際
アカデミー(GKA)の建設には7億円以上も税金を投入し、国の特区認可を受け市自ら設立を認可しています。
まさしく税金の使い方が問われる予算であることを強調するものです。
国民健康保険
国民健康保険会計では、先ほど強調したとおり、1世帯平均8,000円の値上げを前提としていることを指摘するものです。
後期高齢者医療
後期高齢者医療特別会計では、保険料が2013年度に値上げされたままであり、高齢者の負担を軽減する手立てが不十分であることを指摘するものです。
介護保険
介護保険特別会計では、今年度からの総額5億2,798万円(14.9%)の保険料値上げを継続することを指摘するものです。
1年後、6年後の下水道料金値上げを準備
下水道事業等会計では、2020年と2025年に、下水道料金の改定も計画していますが。だいたい「改定」という時には「値上げ」という意味であり、今月出された、太田市下水道事業等経営戦略に書かれております。新年度は、その準備をすることになりますが、これ以上市民負担を増やすべきではないことを指摘するものです。
以上、2019年度予算における、一般会計、国保会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、下水道事業等会計の各予算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。
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