太田市3月議会・本会議最終日の15日に、「若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める請願」を不採択とする健康福祉委員長の報告に対して行った反対討論(要旨)は次のとおりです。
本請願は、一つ目に、年金の隔月支給を国際水準並みに毎月支給に改めること。二つ目に、「物価・賃金スライド」制を無視した、際限のない年金引き下げを行わないこと。三つ目に、年金の支給開始年齢は、これ以上に引き上げないこと。四つ目に、年金を毎年下げ続ける「マクロ経済スライド」及び未調整分のキャリーオーバーを廃止すること。五つ目に、全額国庫負担の「最低保障年金制度」を早期に実現すること、の5点について、その実現を求めて政府関係機関への意見書の送付を求めるものです。
厚生労働省は昨年の全国消費者物価2.7%、賃金2.3%上昇を受けて一昨年4月より、年金を0.9%増額改定しました。これは、本来なら物価上昇にリンクして2.7%増額すべきところを2004年の「年金法」の改定を受け、より低い賃金上昇率2.3%から年金の「特例水準」解消のためとする0.5%を減じたうえに、「マクロ経済スライド」の初の適用でさらに0.9%を減額し、結果として0.9%の増額改定にとどめたことによるものです。
さらに、政府・厚生労働省は、「少子化」と「平均余命」の延びを理由に「マクロ経済スライド」を使って、この先30年間も年金を下げ続けることを見込んでおります。
そのうえ「年金カット法」によって、物価に合わせて年金給付額を改定するというルールを大改悪しました。
また、「マクロ経済スライド」の未実施分を翌年度以降に持ち越して実施する仕組み(キャリーオーバー)を導入して、際限のない年金削減を国民に押し付けようとしています。
年金の実質的な低下は、生きる糧としての食生活さえ切り詰めざるを得ない深刻な状態をもたらし、憲法で保障された生存権を脅かしています。
年金の削減は高齢者だけの問題ではなく、「将来の年金生活者」にとっても大変深刻な問題です。
年金は、そのほとんどが消費に回ります。年金の引き下げが、地域経済と地方財政に与える影響は大きく、自治体の行政サービスにも直結する問題となっています。
年金が増えれば地域の消費も増え、地方税収が増加し、高齢者の医療や介護の負担も低減できる好循環になります。
昨年の国会で自民・公明が強行した年金カット法は、賃金が物価を下回った場合には賃金に合わせ、物価が上がった場合でも賃金が下がれば賃金に合わせて年金額を削減するものです。
さらには、マクロ経済スライド調整率による削減率が、物価・賃金のスライド率よりも大きくて引ききれなかった場合、翌年度以降に持ち越すという「キャリーオーバー制度」を導入するものです。
仮に物価・賃金が上がった場合でも、持ち越された調整分によって、実質的な年金額は削減されます。これでは「後代へのつけ回し」であり、現役世代にも信頼される年金制度とは到底いえません。
無年金・低年金対策は喫緊(きっきん)の課題です。無年金・低年金の根本的な解決のためには、国連社会権規約委員会から2度も勧告されている最低保障年金の創設が必要なことは言うまでもありません。
また年金支給開始年齢の引き上げに伴い改正された高年齢者雇用安定法では定年延長などが義務付けられましたが、大多数を占める継続雇用では、事業主が高齢者の希望に反した職種や低賃金を決める実態が少なくありません。
総務省の家計調査では、昨年12月の消費支出が1年前に比べ0.3%悪化したことが明らかになりました。
勤労者の実質賃金指数を厚生労働省の「毎月勤労統計調査」)でみると、安倍政権が年末に発足した2012年の指数は99.2でした。それが13年以降、98.3、95.5、94.6と下がり続け、直近の16年も、消費者物価が上がっていないにもかかわらず実質賃金の伸び悩みが続きました。
労働者の平均賃金は最近のピークだった1997年に比べると年収で50万円以上減少し、なかでも中間所得層の生活悪化と貧困層の増大が深刻な状況にあります。
年金を毎月支給している世界各国の状況は、請願者である全日本年金者組合が昨年7月に行った調査では、スイス、フランス、カナダ、アメリカ・ニューヨーク州、イギリス、ニュージーランドで行われ、ニュージーランドでは隔週火曜日に2週間分が支払われています。
年金の毎月支給は欧米諸国の体制となりつつあり、毎月支給の必要性、切実性、緊急性は明瞭です。
日本の労働基準法では、賃金は毎月支給が大原則で、退職まではそれが当然のように行われています。
年金受給者になった途端に、少ない年金が隔月払いとなっているのは矛盾と言えます。賃金や生活保護費が毎月支給になっているのだから、年金も毎月支給とすることが当然求められます。
以上、本請願は採択されて当然のものであることを重ねて強調して、本請願を不採択とする健康福祉委員長の報告に対する反対討論を終わります。
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