日本共産党の紙智子議員は5月29日の参院農水委員会で、コメ不足、米価高騰を招いた自民党政治を告発し、農家を支え、コメを増産し安定供給する政策への転換を小泉進次郎農水相に迫りました。
コメ農家も消費者も応援する具体的・合理的な提案を報じた5月30日付しんぶん赤旗記事をお伝えします。ぜひお読みください。
論戦ハイライト 米不足認め増産・農家支援を 紙議員 小泉農水相に迫る 参院農水委 しんぶん赤旗 5月30日付
日本共産党の紙智子議員は29日の参院農林水産委員会で、コメ不足、米価高騰を招いた自民党政治を告発し、農家を支え、コメを増産し安定供給する政策への転換を小泉進次郎農林水産相に迫りました。
紙氏は、政府は昨年のコメ不足のなか、日本共産党が6月に備蓄米の放出を求めても、8月にコメが店頭から消えても備蓄米の放出を行わず、結果、米価高騰が続き、今年1月にようやく備蓄米放出を決断するなど後手後手の対応だったと指摘。その要因はコメの供給量不足をかたくなに認めないことにあったと批判しました。現実には需要に対し生産と在庫量が圧倒的に足りていないため、コメが消え、業者間の集荷競争が始まり、米価高騰につながり備蓄米を放出せざるを得なくなったと指摘しました。
紙氏 政府の対策に振り回され、業者は甚大な被害受ける
農水相 必要な支援 政府全体で考える
小泉農水相は「生産量は増えていて、全体としては供給量はある」と強弁しました。
紙氏は、昨年6月末の民間在庫は、適正な180万~200万トンを下回る153万トンしかない一方、2023年6月末から24年6月末までの需要量は705万トンまで伸び、23年産のコメの生産量は661万トンしかなく「明らかに供給量が足りていない」と指摘しました。
備蓄米放出で出回るコメは計61万トンだが、最初に放出した分が届いていない小売店もあると述べ、政府の責任で末端まで届けるよう要求。一方で61万トン放出で今年6月末の在庫は適正在庫を超える可能性があり、安値で売らざるを得なくなれば、すでに高値で仕入れている業者は窮地に陥り、小さい米穀店などはつぶれかねないと指摘しました。
紙 政府の対策の右往左往に振り回され、業者は甚大な被害を受ける。支援が必要だ。
農水相 必要な支援は、政府全体で考えていくのが当然だ。
紙氏は、こうした状況を招いた政府の政策として(1)事実上の減反と低米価を押しつけた(2)コメ農家への所得補償(10アールあたり1万5000円)を全廃して年間1500億円近い所得を全国のコメ農家から奪った―ことを告発しました。
二つの政策で21、22年のコメ農家の1時間あたりの労働報酬がわずか10円に落ち込み、2000年以降、コメ農家は175万戸から58万戸(23年)へと3分の1に減少したと指摘。「洪水のように離農が続き、この国から、農家、農民が消えようとしている」と所得補償を求める農家の声を突きつけました。
紙氏 どこの国もやっている所得補償が必要
農水相 提案含め議論が必要
紙 どう受け止めるか。
農水相 農業の競争力を強化するための大区画化や集約化、新たな技術の投入が必要だ。
紙 小規模農家を退場させ大規模農家に農地を集約化する政策で大規模農家の経営も大変になっている。大規模化・効率化一辺倒の政策についていけない中山間地で急激に担い手がいなくなっている。
紙氏は、自己責任を迫る政策から、規模にかかわらず農家の所得を補償する政策への転換を迫りました。
紙 どこの国でもやっている所得補償が必要だ。
農水相 提案いただいているようなことも含めて議論が必要だ。
紙氏は、政府がこの30年間、コメの価格や流通に対する国の関与を放棄し、実質的に市場任せにしてきたが、今回、石破茂首相や小泉農水相が備蓄米の放出によって「価格を下げる」と発言していることは「市場に介入することになる。なぜ方針を転換したのか」と追及しました。小泉農水相は「異常事態のような状態だからだ」と述べました。
紙氏は、政府が備蓄米放出を食糧法上「生産量が大幅に減った場合」しかできず、売り渡し方法についても、会計法上競争入札でなければできないと説明してきたが、随意契約に変更したと指摘。「なし崩しの対応は、多くの関係者の経営に影響を与え、混乱を招く」として、緊急対応の根拠、発動基準、具体的な内容が、あらかじめ定められていることが必要だと強調しました。
コメの価格と流通を市場任せにせず、備蓄米を大幅に増やし、需給のコントロールをできる仕組みを整える必要があると訴えました。災害や異常気象はいつ来るか分からず、政府備蓄米を残り30万トン、わずか2週間分に減らした責任をただしました。小泉農水相は「あるべき備蓄のあり方は、しっかり議論したい」と述べるにとどまりました。
紙氏 命支える食料や農業にこそ予算拡充を
農水相 方向性は全く同感
紙氏は農政の現状について、「生産量も在庫量も備蓄も足りず、農家も激減し、農地を増やす目標も立てられない。総崩れだ」と警告。農業予算が1980年代の3兆6000億円から2兆3000億円まで削られる一方、軍事費は8兆7600億円にまで膨れ上がっていると指摘しました。
紙 命を支える食料や農業にこそ予算の拡充が必要だ。
農水相 方向性は、全く同感だ。今後、予算も含めて増やしていく。
紙氏は、トランプ関税の下、米国が日本に農産物のさらなる市場開放を迫っているとして、日本の農業を犠牲にしてはならないと強調しました。
紙 江藤拓前農水相は「日米貿易協定の交渉が、乾いた雑巾を絞るようなものだった。これ以上の輸入自由化はできない」と述べていたが、同じ認識か。
農水相 農業を犠牲にした交渉は許されないという認識は同じだ。
紙氏は、政府が過去にも農業を守ると言いながら、牛肉・オレンジの自由化に示されるように農業を犠牲にしてきた事実があるとして、「今回は決してそれはやらないということを明言していただきたい」と強く求めました。