社会保険の扶養切り

  県社保協が太田市と懇談した11日、社会保険の扶養家族が、加入している組合健保や協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)から離脱し、太田市の国民健康保険(国保)に加入する事例がめだっていると市国民健康保険課(国保課)から聞きました。

扶養家族としての資格がなくなった人は、別の社会保険に加入できなければ、国保に加入しなければなりません。

市国保課によると、最近の事例では、社会保険の扶養家族からはずされ国保に加入する人のなかには、未成年の子どもも含まれ、17歳の子どもや、22歳と3歳の母子(加入者本人の子と孫)もいるとされます。

社会保険の被扶養者(扶養家族)は、健康保険法第3条7項によって次のとおり規定されています。

社会保険の被扶養者(扶養家族)
(旧社会保険庁ホームページより)

同法第3条7項の一
①加入者の父母・祖父母・曽祖父母など直系尊属。
②配偶者(事実上婚姻関係にある人を含みます)。
③子、孫、弟妹。
※①~③にあたる人で、主にその加入者によって生計を維持する人(①~③は別居でも扶養家族とされます)。

健康保険法
第3条7項の二
  加入者の三親等内の親族(旧社会保険庁ホームページ)で、同法第3条7項の一で規定する人以外で、その加入者と同居していて、主にその加入者によって生計を維持する人。(配偶者の父母・祖父母・曽祖父母も含まれます)

同法第3条7項の三
  加入者の配偶者で事実上婚姻関係にある人の父母や子で、その加入者と同居し、主にその加入者によって生計を維持する人。

同法第3条7項の四
同法第3条7項の三で規定する配偶者の死亡後に残されたその配偶者の父母や子で、引き続きその加入者と同居し、主にその加入者によって生計を維持する人。

※収入がある扶養家族の認定基準
厚生労働省では、収入がある扶養家族の認定基準については、次のとおり規定しています。(旧社会保険庁ホームページより要約)

生計維持の基準について

「主として加入者に生計を維持されている」、「主として加入者の収入により生計を維持されている」状態とは、以下の基準により判断されます。

ただし、以下の基準により扶養家族の認定を行うことが実態と著しくかけ離れ、かつ、社会通念上妥当性を欠くと認められる場合には、その具体的事情に照らし最も妥当と認められる認定を行うことになります。

①扶養家族の認定対象者が加入者と同居している場合
  認定対象者の年収が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、加入者の年収の2分の1未満である場合は扶養家族となります。
なお、上記に該当しない場合でも、認定対象者の年収が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、加入者の年収を上回らない場合は、その世帯の生計の状況を総合的に勘案して、その加入者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、扶養家族となります。

②扶養家族の認定対象者が加入者と別居している場合
認定対象者の年収が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)で、加入者からの援助による収入額より少ない場合は、扶養家族となります。

※「扶養家族の認定対象者の年収が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満」の運用について

①、②のいずれの場合も、「“年収換算”で130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)」の運用となります。

つまり、「年収に換算して」130万円未満=月収108,333円以下の収入がある期間(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満=月収150,000円未満の収入のある期間)は、「扶養家族として認められない」と運用されます。

収入がある方についての被扶養者の認定基準について
(旧社会保険庁ホームページ)

“扶養切り”は以前から

以前から、「加入者の子どもは扶養家族とするが、年金収入に関係なく親は認めない」として、違法な扶養切りを行う会社は少なく
ありませんでした。

最近は、これまで認めてきた扶養家族まで違法に排除する扶養切りが横行している可能性が疑われます。

太田市とも協力して

違法か合法かは、個別の事例を正確に把握しなければ断定できません。
これから市国保課とも連携・協力を強めながら、違法な扶養切りが行われていないかどうか、しっかりと調査を進めます。

私が18日に問い合わせた厚生労働省・保険局保険課の担当者は、太田市で違法な扶養切りなど不当行為が確認された場合は、関東信越厚生局による是正・指導を行うことになると答えています。

中小企業の経営を
守る取り組みと一体に

社会保険の扶養切りの調査・確認と厚生局による是正・指導は、中小企業の経営を守る取り組みと一体に行わなければなりません。

大企業の不当・横暴な下請単価の買いたたきや発注切りなど下請いじめが横行しているもとで、社会保険の加入義務や扶養家族の加入など法律を守ることが困難な状況に追い込まれている中小企業も少なくありません。

中小企業にこうした法令順守を求める際には、親会社・大企業にたいして、下請・中小企業の経営を守る社会的責任を果たさせる取り組みの強化を同時並行で進めることが求められます。

雇用の7割を支え、国内企業の99%以上を占める中小企業の経営を守ることが、労働者とその家族の命と暮らしを守ることにもつながります。

もちろん、中小企業の経営が守られてこそ、日本経済の健全な成長と発展の土台が築けることはいうまでもありません。

そして、もちろん、国民の7割といわれる労働者の、まともな雇用と生活できる賃金を守ることも同様に大切です。

政治の責任でそれらを実現するためには、もっと、もっと、日本共産党が力をつけなくては!

がんばります!
引き続き、変わらない大きなご支援を、よろしくお願いします。

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