民間再開発ビル・桐生大学に90億円 求められるのは給付型奨学金の拡充、通学補助
3月議会の予算に対する総括質疑では、桐生大学誘致が大前提の再開発ビル補助64億円と同大学の再開発ビルへの入居補助14億円、別の再開発ビルへの補助12.2億円、合計90.2億円の補助の中止を求めました。
桐生大学太田キャンパスイメージ図(同大ホームページより)
補助率は破格の61%
これらの補助は国と市が2分の1ずつの負担とされますが、桐生大学の入居がなければ成り立たない太田駅南口第3地区の再開発事業は総事業費127.8億円。再開発ビルの建設と同大学への入居に対する補助金合計78億円は補助率が破格の61%にもなります。桐生大学太田キャンパスの開校は2年後の4月とされますが、来年4月には太田アカデミーも市内に大学を開設予定。少子化が進む中で生きた補助金とはなりえません。
公共交通充実、物価高対策こそ最優先
質問では、中心市街地の活性化のためというなら、市民の暮らしそのものを支える手立て、物価高対策、周辺部まで含めた公共交通網の充実こそ優先すべきと指摘。周辺部から中心市街地まで公共交通を充実してこそ、中心市街地に賑わいを生み、活性化につながることを強調しました。
市長は、大学が利便性の高い駅前にあることで、学生数を維持し、さらなる高みを目指していけるとして、大学は単なる箱ものではなく、将来の市を担う人材を育てるとともに、若者が集まるまちとなり、消滅可能性都市が増える中、太田市の人口の維持にもつながると答弁。さらに市長は、大学は栄枯盛衰があるとしながら、桐生大学は健康をターゲットにする方針で、簡単に衰えることはないとも答えました。
求められるのは給付型奨学金の拡充、通学補助
たしかに大学は社会的に大切な役割を持っています。駅前での大学開設など学生の学ぶ環境整備も大事ですが、一つの大学が市に開設されるために78億円もの税金を使うよりも、給付型奨学金の充実や遠隔地の大学などに通う学生への交通費補助を十分に行うことこそ税金の使い方として求められます。
一度とん挫した再開発に12.2億円の補助
市は、桐生大学が入居する太田駅南口第3地区の再開発ビルだけでなく、同第4地区での総事業費29.5億円の再開発ビルにも12.2億円の補助を計画しています。この再開発は2020年にスタートしたものの21年に一度とん挫したもので、2つの再開発ビルは同じ事業者によるものです。これらの補助は結局、特定業者優遇でしかありません。
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