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9月25日の太田市議会最終日の本会議では、マスコミのどの世論調査でも5割から6割の国民が反対している、戦争する国づくりのための集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を求める請願が、日本共産党と尾内謙一議員以外によって不採択とされました。
驚いたのは、不採択に同調した議員の中には、集団的自衛権行使容認の閣議決定に対して「民主主義に対する暴挙であり、極めて遺憾」という事務局長談話をそのホームページに掲載している日本労働組合総連合会(連合)加盟労組に加入している議員が2人いたことです。
彼らは2人の議員は、所属する労働組合に反旗を翻そうとでも考えているのでしょうか。
さらに驚いたのは、この請願を不採択とする総務企画委員長の報告に賛成討論を行った宮沢議員が、外交や安全保障の問題は地方議会から意見を上げることにはなじまないと討論の中で発言したこと。
地方自治法第99条では、「普通地方公共団体(自治体など)の議会(地方議会など)は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と規定されています。
戦争を起こせば、あるいは戦争に加担、つまり参戦すれば、自治体の「公益」が損なわれるどころではすみません。文字どおり住民が危険にさらされる、住民の命が奪われる危険が現実に起こりうる事態を招くことは誰にも否定できません。宮沢議員は、自治法99条を知らないのか。あるいは「公益」の意味を知らないのか。そもそも戦争がどういうものなのか理解ができないのか。驚きを通り越して、「呆れて開いた口がふさがらない」もさらに通り越して、激しい怒りを覚えたほどです。
とにかく、この請願を不採択とする総務企画委員長の報告に対して渋沢議員が行った反対討論(大要)を掲載します。討論は次のとおりです。
日本共産党の渋沢ゆきこです。
請願第21号「集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回と集団的自衛権行使のための立法措置をおこなわないことを求めることについて」の請願を、不採択とした総務企画委員長の報告に対する反対討論をいたします。
安倍政権は7月1日、国民の多くが反対の集会や、反対の声を上げ続けているのにも関わらず、集団的自衛権行使容認を柱とした「閣議決定」を強行しました。これはどのような意味を持つのでしょうか。
この「閣議決定」は、「憲法9条のもとでは海外の武力行使は許されない」という従来の政府見解を180度転換し、「海外で戦争する国」への道を開くものです。
「集団的自衛権」とは、「自衛」といっても従来からの「個別的自衛権」とは全く異なり、自分の国が攻撃されていなくても、同盟国であるほかの国が攻撃された場合や戦争を起こした場合に、一緒になって武力行使をできるようにすることであり、日本が外国に攻められた場合に自分の国を守ることではありません。
こうした国のあり方そのものを大きく変えてしまう、憲法改定に等しい大転換を与党の密室協議を通じ、また一片の「閣議決定」によって、しかも「解釈改憲」によって強行するという行為は憲法9条を破壊する歴史的暴挙であると同時に、立憲主義を根底から否定するものといえます。
この「閣議決定」は、1つめに、従来の海外派兵法に明記されていた、「武力行使をしてはならない。」、「戦闘地域にいってはならない」と行った歯止めを外し自衛隊を戦地に派兵するものとなっています。
そして、自衛隊の活動地域を「後方支援」「非戦闘地域」に限定するという従来の枠組みを廃止し、これまで「非戦闘地域」とされてきたところであっても、支援活動ができるとしています。
「戦闘地域」での活動は、たとえ後方支援と言うことであっても、自衛隊が相手からの攻撃を受けることにつながり、攻撃されれば応戦すると言うことになり、限定的などと言うことはあり得るわけもなく、いったん戦闘が始まってしまえば泥沼化して、おびただしい犠牲者を出すことになってしまいます。
アフガニスタン戦争では後方支援で、21カ国1031人の兵士が犠牲になりました。今後は自衛隊も標的となり、攻撃対象とされてしまい、戦争に巻き込まれることは明らかです。
2つめに、この「閣議決定」は、自衛の措置としての「武力の行使」の新3要件を示した、日本に対する武力攻撃がなくても、「我が国の存立がおびやかされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」には、武力の行使=集団的自衛権の行使ができるとしています。
政府与党は、今回の決定について、今回の集団的自衛権行使容認は、あくまで「限定的」なものに過ぎないとしていますが、詭弁としかいえません。
では、我が国の存立がおびやかされる「明白な危険」があるかどうかの判断をするのはいったい誰でしょうか。
「明白な危険」があるかどうかを判断するのは、時の政権であり、「限定的」といっても、時の政権の一存で、海外での武力行使がどこまでも広がる危険性があると言うことになります。
また、いったん海外での武力行使が始まってしまえば「必要最小限の実力行使」と言っても、相手からの反撃を招き、際限のない戦争の泥沼に陥ってしまうことは避けられません。
集団的自衛権には、「限定的」や、「必要最小限」などということはあり得ないというのが実態です。
さらに政府は、集団安全保障においても、新3要件である、日本への武力攻撃がなくても、我が国の存立がおびやかされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が覆される明白な危険などがある場合に武力攻撃は許容されるとしていますが、集団的自衛権を名目と武力行使も、集団安全保障を名目とした武力行使もともに許容されるなら、憲法9条が禁止するものは何もなくなってしまいます。
「戦争の放棄」、「戦力不保持」、「交戦権否認」を規定した憲法9条を幾重にも踏みにじる暴挙としかいえません。
戦後約70年たちますが、いままで日本では1人の戦死者も出していません。それは、憲法9条によって自衛隊は武力行使はできなかったからです。
それを、1内閣の解釈改憲によって、日本のこれからの未来を、国のあり方を、そして、将来ある若者たちの行く末を危険な目に遭わすようなことに変えてしまってよいのでしょうか。
私たち会派が行った市民アンケートでも、平和を守ってほしいという様々な声が市民から寄せられています。
一部を紹介しますと、「戦争のない国でありたい。平和ぼけと言われるが、戦争はだれしも好まないと思う。97歳まで生きた私の母の「戦争だけはこりごりだ」というの言葉が、今も私の記憶に鮮明に残っています。」と60代の女性からの声。
また、「日本は戦争しない平和な国であるはずなのに、どんどん69年前に戻ってしまいそうで恐ろしいです。何とかして欲しい」という声。
また、「最近の状況を見ていると、軍国主義に向かっているのと思えて怖いです。間違っても子どもや、孫に徴兵制なんてことありませんように」という声もあります。
また、「『集団的自衛権の憲法解釈変更』という姑息な手段で、右へ右へと導いているが、憲法は時の内閣を始め、多くの知識人たちが『二度と戦争はしない』という理念の元につくりあげたものであり、現政権のように拡大解釈などもってのほか」などの意見がありました。
また、共同通信社が8月に実施した世論調査によると、集団的自衛権行使を容認する閣議決定について、84パーセントが充分に説明していると思わないと回答でした。そして、行使容認に反対は全体で約6割です。
年代別に見ると、20代から30代の若年層で反対が約7割となっています。その若年層の中でも、女性は反対が76,8パーセントで男性の62,7パーセントより14パーセントも多くなっています。
こういった多くの国民の声に耳を傾けようともせずに、集団的自衛権行使容認を柱とした閣議決定を強行した、安倍内閣に私は怒りを覚えます。
全国でもこの集団的自衛権行使容認など解釈改憲の閣議決定に抗議し、その撤回を求める意見書が9月21日の時点で、全国で197自治体となっています。そのほか、30を超える自治体から慎重に進めるように意見書があがっています。
そして近隣では、埼玉県で越谷市ほか4自治体、茨城県でつくば市ほか3自治体が意見書可決となっています。
以上申し上げたような国民の思いや、全国の流れを考えても、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、集団的自衛権行使容認のための立法措置を行わないように国に対して意見書を、この群馬県太田市からもあげていただきたいと要望するのは当然であり、そういった市民の声や願いに応えることをせず不採択とした総務企画委員会の委員長報告に反対の意見を申し上げて、私の反対討論といたします。
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