太田市2025年度予算 一般・後期医療・下水道会計に反対討論
3月18日の太田市3月議会最終日の本会議では、2025年度の太田市の一般会計、後期医療会計、下水道会計の予算に反対討論を行いました。
国保会計は、22年度からの小学校入学前の子どもの均等割の2分の1軽減が継続されることから賛成。墓園会計は、25年度に墓所の造成工事が完了し分譲が始まることから賛成。介護保険会計は、24年度から3年間の介護保険料の基準額を据え置き、基準額より低い第1段階から第3段階までの保険料を若干でも引き下げ、保険料を23年度までの12段階から15段階に増やし応能負担を強めることで、基準額より高い段階の人でも保険料が下がる場合もあることから賛成しました。
2025年度の太田市の一般会計、後期医療会計、下水道会計の予算の概要は次の通りです。
政府予算案
衆議院を通過した2025年度の政府予算案は、高校授業料の無償化こそ計上されましたが、国民の暮らしを支えるための予算は増額したものの物価上昇に追いつかず、実質的にマイナスなのに対し、防衛費は9%以上増えて8.7兆円という大幅な増額。その内容も、他国に攻め込むタイプの軍備の増強ばかりです。
もう一つの重大な問題は、大儲けをあげている巨大企業や超大金持ちばかり優遇していることです。これらをしっかり見直し、巨大企業や超大金持ちにもうけにふさわしい税金の負担を求めることで、得られる財源を国民の暮らしを支える予算や、消費税を5%に引き下げる財源にあてることが切実に求められます。
太田市予算
物価高、大軍拡・大増税から暮らしと営業、農業を守る市政への転換を
31億円超のエアリスベース 2.6億円のスケボー場



エアリスベース内
左から、使えないムダな階段、「黄疸がわからない」と医師から批判が上がっている保健センター、危険なスロープと階段のつなぎ目
大雄建設の物産館を2.1億円で購入、
改修費は1.1億円、維持費は人件費を除き年699万円

多文化共生センターに改修する以前の大雄建設の物産館
夢麦酒太田への補助9,000万円の破綻

夢麦酒太田内にある別法人の地ビールレストラン「ダニエルハウス」
財調は合併した20年前の2.5倍 123億円
暮らしと営業、農業を守る予算がないとは言えない
太田市の予算案ですが、一般会計では、まず最初に給付型奨学金がスタートすることを大いに評価するものです。
職員の扶養手当を削減
新年度は職員の扶養手当のうち子どもに対する手当こそ段階的な増額が始まるものの、配偶者に対する手当は段階的に削減され26年度には廃止となり、事実上は賃下げとなる職員も少なくないことを指摘しないわけにはいきません。
非正規職員の賃上げは進んではいるものの、求められている、この地域の民間賃金への波及効果、この地域の景気回復まで考えれば、職員の賃下げを撤回し、賃上げにかじを切り替えることが求められることを指摘するものです。
公共交通
求められる高齢者タクシー券
公共交通では、お買い物クラブこそ充実されますが、おうかがい市バスの利用要件を大幅に緩和して2年目となり、利用対象者が拡大されたからこそ、さらにおうかがい市バスの充実が求められること、対象拡大で予約できない人が増加することまで考えれば、車に乗れない高齢者へのタクシー券が切実に求められることも強調するものです。 そうした今後の課題や切実に求められている物価高対策を考えるなら、31億円余りをかけて2月にオープンとなり、人件費を除いて5千万円の維持管理費がかかるエアリスベース、2.6億円のスケボー場、2.1億円で購入して1.1億円で多文化共生センターに衣替えした大雄建設の物産館に言及しないわけにはいきません。
エアリスベース
危険なスロープと階段のつなぎ目
黄色い保健センターには医師から批判も
エアリスベースは、スロープと階段のつなぎ目で車椅子に子どもを乗せたお母さんが危なくなる現場に竣工式で居合わせました。上り下りができない手すりで囲まれた、使えない階段など機能が疑われるムダなスペースもあります。しかもエレベータは入口から遠い奥にあります。車椅子の高齢のお母さんと訪れた人からは、「疲れた」という声も寄せられています。
館内が黄色い保健センターは奥に行くほど黄色が濃くなり、トイレから出る時にはくらくらしたほどです。健診室も黄色いため、「黄疸がわからない」という医師からの批判もあります。
銀色の壁面はギラギラとしていて違和感を持ってしまいます。設計は太田駅北口の美術館•図書館と同じ平田晃久建築設計事務所ですが、エアリスベースも北口の美術館•図書館と同じ設計思想が感じられます。
北口の美術館•図書館は、らせんスロープ沿いの書架に西日が差し込み、書籍の日焼け•痛みを指摘しても、設計者の意向で薄いカーテンしかかけられない。なぜこんな設計を採用したのか、太田市の責任が問われます。
そしてエアリスベースの図書館には、他の図書館4館も同じですが、ICタグがありません。コロナ交付金活用できたはずであるにもかかわらず、なぜ交付金の活用によるICタグを導入しなかったのかが問われます。
こうした問題のある施設は早期に改修が求められますが、その改修費用は、物価高対策を充実できない理由にはならないことも強調するものです。
民間再開発ビル・桐生大学に90億円
給付型奨学金の拡充、通学補助の新設こそ最優先
民間再開発ビル補助では、まず南口第3地区では、2021年度から7年間で総事業費127.8億円に対して補助金合計は、再開発分で64億円、再開発の大前提となる桐生大学の入居に対する補助14億円と合わせると78億円、国と市で2分の1ずつの補助とは言うものの、補助率は破格の61%となります。
大学は社会的に大切な役割を持っていて、駅前での大学開設など学生の学ぶ環境整備も大事ですが、一つの大学が太田市に開設されるために、再開発補助と併せて78億円もの税金を使うよりも、給付型奨学金の充実や遠隔地の大学などに通う学生への交通費補助を十分に行うことこそ税金の使い方として有効であることを強調するものです。
南口第4地区の再開発は、2020年度にスタートしたものの21年度にとん挫していました。そして今回、今年1月の都市計画変更を受けて、今月3月に事業着手予定とされます。2027年度までに総事業費 29.5億円に対して補助金は合計12.2億円。補助率41%。国と市が2分の1ずつの補助とされますが、こうした再開発補助は、どう考えても特定業者への優遇となることを指摘するものです。
夢麦酒太田への補助9,000万円の破綻
24年度の問題ではありますが、夢麦酒太田への特別扱いにも言及しないわけにいきません。夢麦酒太田には、ふるさと納税返礼品としての缶ビールの開発・製造のためという名目で、24年度に9,000万円の補助金が出されましたが、昨年12月末までに返礼品としての缶ビールの申し込みは132件、金額では200万円弱にとどまりました。そして缶ビールの売り上げは昨年3月~12月末までで1,200万円、年間の販売計画でも1,400万円にしかすぎません。夢麦酒太田への補助は、完全に破綻したことになります。
補助金不正使用の疑い
夢麦酒太田は市の補助金で屋根の雨漏りを修繕していますが、修繕したのはビールの製造部分の屋根ではなく夢麦酒太田内にある別法人の地ビールレストラン、ダニエルハウスの屋根です。市企画政策課は、ビールの製造部分とダニエルハウスは建屋が一体であることから、ふるさと納税返礼品としての缶ビールの開発・製造・販売補助金の不正使用には当たらないと回答しています。しかし、その回答は全くの詭弁であり、補助金の不正使用の疑いがあることを強調しないわけにはいきません。
税金の使い方が厳しく問われる問題であり、今後はこうした補助は厳に慎むことが求められます。
尾島
備前島公園野球場より水害避難所こそ最優先
備前島公園野球場の建設については、野球場よりも水害避難所、水害時の福祉避難所の建設こそ最優先という声が尾島の人たちから上がっていることを指摘するものです。
財調は合併した20年前の2.5倍 123億円
太田市の財政調整基金は2024年度末見込みで123億円と、合併した20年前の2.5倍。この財調基金も十分に活用し、物価高から暮らしと営業、農業を守ることを最優先に切り換えることを強く求めるものです。
後期高齢者医療会計
後期高齢者医療特別会計では、保険料を値上げした2年目となることを指摘しないわけにいきません。太田市として独自の減免など負担軽減が求められることを強調するものです
下水道事業等会計
下水道事業等会計では、下水道料金値上げの2年目となり、物価高で苦しむ市民に負担増を増やし続ける問題を指摘するものです。
以上、2025年度予算における、一般会計、後期高齢者医療会計、下水道事業等会計の各予算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。
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