同じ職場で兼業し処分されない職員も 兼業を理由に不当処分された職員が公平委に再審請求

 太田市芸術学校で指導や指揮をしていた職員が不当な処分を受けたのは2023年9月30日。処分の撤回を求めて昨年9月に職員が起こした裁判は、第6回公判が9月19日に開かれます。

 職員は兼業報酬の受け取りやヴァイオリン売却、パワハラ、セクハラ、勤務態度の不良などを理由に参事から課長に1階級降格され今もそのまま。23年10月から12月まで3カ月間の停職(無給)処分を受けました。

 職員は昨年3月、市公平委員会に公開審理を求め、今年3月に出された公平委員会の裁決では、ヴァイオリン売却では金銭授受に関与はなく非違性はなかったとされました。さらにセクハラでも非違性はなかったとされました。しかし兼業報酬の受け取りやパワハラ、勤務態度の不良では非違性が認定され、今も処分は撤回されません。

 8月20日付のこのブログ記事に続き今回は、裁判を支えるスタッフから聞き取った、市公平委員会への再審請求の趣旨をお伝えします。

目次

芸学の仕事 兼業も含め市長承認だった

 処分された職員を責める前に、そもそも芸術学校の事務職員は、民間プロオーケストラ「アカデミーオーケストラ(昨年12月にシンフォニエッタおおたと改名)」の事務を丸抱えでやっていました。報酬は得てなくとも、本来の業務以外の業務は兼業と見なされます。芸術学校の事務職員は全て兼業申請を出していませんので、処分した市の理屈を通せば全ての職員が処分対象となります。

 こうした事実から芸術学校の仕事は兼業も含めて、市長の承認のもとに行われたと認めざるを得ません。さらにアカデミーオーケストラの通帳の出納をその結成以来、事務職員が仕事で行っていた事実、その証拠もあります。

パワハラではなく解雇されないための指導

 パワハラとされる叱責行為については、パワハラ被害者とされる職員に、解雇に相当する重大な命令違反が常態化していて、反省や改善が見られなかっため、処分された職員は、被害者とされる職員が解雇とならないよう指導をしなければなりませんでした。処分した市は、その解雇相当の勤務態度不良を無視し、強い指導の部分だけを切り取って証拠としたのです。

 意図的な録音証拠もそうですが、この切り取り証拠に関連して、パワハラの件については、複数の職員が証拠作成のため被害者とされる職員への長期的かつ不自然すぎるほどの関与をしていたことも確認されていて、どこまで被害者とされる職員の意思があったのかも疑われます。

処分された職員に勤務態度の不良はなかった 長時間勤務は労基法違反のレベル

 処分された職員の勤務態度不良について市は、市役所の勤務時間のカチっとしたルールから外れているとの観点で見ているようです。しかし芸術学校の業務は特殊な勤務形態です。市文化スポーツ振興財団に芸術学校の職員として配置されることにより、職場ごとに勤務時間の配分を決めるルールのもとで、独自に調整することが必要不可欠な職場です。それは芸術学校の職員の大半がそうであり、今も同じです。

 処分された職員は芸術監督を拝命されていたため、他の職員よりもはるかに勤務時間は長く、労働基準法に違反するレベルだったと一緒に働いていた職員も認識しています。

「なにか違反はないか」 強引な調査

 当時の事務方トップが職務命令で、「なにか違反はないか」と強引に調査をさせた痕跡もあり、その命令に従った部下たちのメールでの回答がそのまま証拠として提出されたとされます。その内容はなんとも不自然な印象が強く、回答つまり通報の目的が、公益的見地か私怨かも区別できないほど適格性に欠く証拠であるとの情報もあります。

コンプライアンス徹底、事業は拡大・推進へ 11日に議会質問

 9月11日の市議会では、芸術学校のコンプライアンス徹底をはかり、後退・縮小してきた事業を拡大・推進へと舵を切り替えること、処分された職員の「不正の温床」と決めつけられて芸術学校から切り離された大人の一般三団体への支援の充実を求めて質問します。

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