公共工事の品質確保と賃金保障のために-公契約条例を

  虹色-Dさんから公共工事の低額落札に関する問題についてコメントが寄せられました。

虹色-Dさんは、最近多くの業者が信じられないほどの低額で公共事業を落札していると指摘。発注側(国や自治体)も審査は行うものの結局認定し、結果的に下請業者や資材業者の単価が叩かれ、悪循環が繰り返されると指摘します。

全国初 公契約条例制定
工事品質の確保と賃金保障を
千葉県野田市

  千葉県野田市では、全国初の公契約条例を制定し、今年4月から実施します。
野田市の公契約条例の概要は以下のとおりです。

公共工事の受注業者や末端の下請け業者にいたるまで最低賃金・労賃を保障します。

公契約条例における最低賃金とは、「ニ省協定」といわれる国土交通省と農林水産省
の協定によって取り決めた労賃の単価の8割以上のことをいいます。

8割以上の労賃を保障するためには、受注業者にたいして、末端の下請け業者も含めて賃金台帳や給与明細書の写しの提出を求めます。

  以上が千葉県野田市の公契約条例のポイントです。

  全国にはこの公契約条例と同様の制度をつくっている自治体もあります。
東京・国分寺市、日野市、函館市などです。

国分寺市、日野市の制度は野田市とほぼ同じ内容で、違いは「条例化しているか、いないか」というだけといってもいいほどです。

函館市の場合は、元請業者にたいして、「どういう地域の、どういう業者から、どんな資材を調達するのか」について報告書の提出を義務付けています。

09年12月市議会
私も公契約条例を提案

私も昨年12月市議会で、公共工事における労賃の保障、市内業者、下請け業者の育成と支援、経営を守るためにも、公契約制度・条例化が必要と提案しました。

これまでにも私は市議会で、公共工事の品質確保と元請・下請業者で働く労働者の労働条件、賃金などを保障するよう、制度の改善を求めています。

すでに太田市では2008年度から、入札・落札制度を改善するため、入札価格とともに入札価格以外の評価項目も含めて落札業者を決定する総合評価落札制度を導入しています。

はこれまで市議会で、元請・下請業者で働く労働者の賃金や社会保険の加入・未加入の状況、健康診断の実施・未実施の状況など労働条件を総合評価落札制度の落札(評価)基準に加えることを求めてきました。

こうした私の提案は、現在でも実現されてはいませんが、一定の改善も行われています。

いま太田市では、市独自で入札における最低制限価格を設定し、元請・下請労働者の待遇の改善をうながしています。

この間の具体的な改善点としては以下のとおりですが、いまの社会経済情勢では、さらにもう一歩二歩進んだ改善が求められています。

①工事案件
中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルに準拠して算出。さらに予定価格の75%
から85%の範囲での設定を優先。(国は予定価格の70%を最低制限価格として設定)

②業務委託案件
市場価格が活かせるよう入札金額の平均値の90%を最低制限価格として設定。最低制
限価格は75%を優先。

市長は「賃金について市がもの申すことは考えていない」と答弁。しかし「市の発注が市内企業で完結し、市の総需要を増やすことが大事。そういう形にもっていけるよう何らかのルールづくりをしたい」と答えました。

運動と議会論戦
ねばり強い取り組みが力に

野田市でも国分寺市でも、そして日野市でも函館市でも、公契約制度あるいはその条例化の力となったのは、業者団体のねばり強い運動と日本共産党の議会でのやはりねばり強い取り組みです。

私もこれから、さまざまな団体と力を合わせて条例化を実現するまでがんばり続けます。

虹色-Dさんの地元でも道議会でも、すでに諸団体と日本共産党との共同の取り組みが進められていると思います。

  現実政治を一歩でも二歩でも前に
動かすために、ご一緒にがんばりましょう!

■関連記事

地域経済活性化のための入札・契約制度の改善を提案‐太田市3月議会・総括質疑/2012年3月11日/水野正己のブログ

入札のダンピング競争防止と公共工事の品質確保のために/公契約制度の条例化と最低制限価格の引き上げ、小規模業者の仕事確保を/2010年9月議会/水野正己の一般質問(太田市ホームぺージ/市議会/会議録検索のページ)

中小企業に資金と仕事を/市長  緊急資金の検討など約束/2010年1月22日/水野正己のブログ

地域経済を守るための契約制度の確立を/2009年12月議会/水野正己の一般質問(太田市ホームぺージ/市議会/会議録検索のページ)

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この記事を書いた人

役に立って、希望がもてて、楽しめるブログにしたいなぁ…と思いながら更新中です。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • ありがとうございます。
    記事にまでしてくれるとは・・・

    励みになります。
    より一層の努力と粘り強さ・・・
    頑張ります。

    ありがとうございます。

  • ご一緒に
    虹色-Dさんへ

    こちらこそ、ありがとうございます。

    以前からこの件はブログにUPしようと思いながら、先延ばしになっていました。

    虹色-Dさんのおかげで、記事にまとめることができました。

    制度の改善に向けて、生活できる仕事を確保するため、公共工事を改善するため、ご一緒にがんばりましょう!

  • 最低落札価格
    おはようございます。

    虹色さんのコメントを読んで、現在の入札制度に目が行くようになりました。
    今現在、公的機関での入札は無効になる最低入札価格制度など法的にないのでしょうか。
    不勉強ですいません。
    正しい落札価格が正しい製品や役務を担保すると思うのですが。

    経済はそんな事を言っていられないほど疲弊しているのでしょうか。

    益々の活躍と期待しています。

  • 原村さんへ
    返信コメントが大変遅くなってしまって、申し訳ありません。

    いま国や自治体など公共団体の入札には、「最低制限価格」の制度があります。

    ところが国は、この最低制限価格を予定価格の70%としています。

    太田市では75%として、さらに入札価格の平均の90%を最低制限価格とするなど一定の改善も進んでいますが、業者からは、それでもまだまだ、当局の積算する予定価格そのものが安すぎると言う声があがっています。

    入札制度の改善にいま必要なのは、予定価格そのものの見直しと、人件費を保証するための公契約制度です。日本共産党は国がそのための法律をつくることを要求しています。同時に国の法制化待ちにならず、自治体が独自に条例化することも要求しています。

    やはり、その点でも今度の選挙が大切です。

    今後とも、よろしくお願いします。

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