おうかがい市バス 増車し利用対象者を拡大しても予約できない人は減らず
前橋・伊勢崎のタクシー代補助との比較
おうかがい市バスは利用できる人が少なく高コスト
太田市のおうかがい市バスで予約が取れなかった人は、バスが7台だった2024年4月1日で88人、バスが8台になった19日後の24年8月20日で60人、バスが9台になった11日後の24年9月1日で39人、25年4月1日で86人。おうかがい市バスは、24年4月1日から利用対象者を拡大し、70歳以上の人は全員、70歳未満でも障がい者手帳のある人は全員が利用対象とされています。
利用対象者の拡大は必用で、バスの増車も必要ですが、便利にすればするほど、予約が増えて、予約数に比例して予約が取れない人も増えるという“宿命”を持っていることが分かります。
9月議会の一般質問では、公共交通の充実を求めて一般質問。太田市のおうかがい市バスと前橋市、伊勢崎市のタクシー代補助の利用実績の比較を示しました。
太田市のおうかがい市バスは、延べ利用者、つまり予約成立件数が月3,000人ほどで、年間推計は3万6,000人ほど。36,000人ほどの延べ利用で1人1回当たりの補助単価は2,600円から2,800円ほどです。
前橋市のタクシー代補助では、延べ利用者が年間20万人以上、太田市の人口に換算すると139,000人で、1人1回当たり補助単価が700円ほど。伊勢崎市のタクシー代補助では、延べ利用者が年間約9,000人で、1人1回当たり補助単価が800円ほどです。太田市のおうかがい市バスは、前橋のタクシー代補助に比べて、利用した人は6分の1以下、前橋の利用者を太田市の人口に換算してもおうかがい市バスは前橋のタクシー代補助の4分の1の利用者で、1人1回当たりの補助単価は前橋の約4倍になります。
太田市のおうかがい市バスは、高コストの税金をかけながら、一部の交通弱者しか利用できないものだということがわかります。もちろん公共交通は福祉ですから、単にコストだけで考えられないのは言うまでもありません。しかし、より多くの交通弱者の公共の〝足〟を確保するには、去年から始まった「お買い物クラブ」を改善しているとはいえ、タクシー代補助が求められることは明白です。
太田市でタクシー券に必要な予算は
太田市で、おうかがい市バスの登録者にタクシー券500円を年24枚交付する場合に必要な予算額は、全員に交付で39,840,000円、半分の人に交付で19,920,000円。
やはり太田市で、おうかがい市バスの利用者にタクシー券500円を年24枚交付する場合に必要な予算額は、全員に交付で5,196,000円、半分の人に交付で2,604,000円。
同様に太田市で、運転免許のない75歳以上の人にタクシー券500円を年24枚交付する場合に必要な予算は、全員に交付で241,440,000円、半分の人に交付で120,720,000円です。
質問では、これらの現状や他市との比較を指摘。おうかがい市バスや路線バスの課題への認識と今後の公共交通政策の充実に対する方針をただしました。
市民生活部長は、おうかがい市バスの課題について、人件費や燃料費などの高騰で運行費用が増加していることとともに、乗車率が低いため効率性が悪いこと、電話での予約が殺到するため予約が取れない人が生まれることを認めました。さらに同部長は、路線バスについても、人件費や燃料費の高騰とともに、朝の通勤・通学時間帯が混雑するため、増便の検討が必要と答えました。
地域公共交通計画の再策定が必要
質問ではさらに、太田市内でのタクシー不足を指摘しました。前橋市では約300台、伊勢崎市で約150台、館林市で約100台のタクシーが走っているのに対して、太田市では50台ほどしか走っておらず、もともと10社あったタクシー会社は、ほぼ壊滅状態で太田市の人口から考えて全く足りないことも指摘。原因は、公共交通の充実をほとんど、おうかがい市バスで進めてきたことにあると強調しました。
路線バスの増便・路線増、タクシー増車・運転手確保のための業者支援、シャトル500復活、タクシー券を
質問では以上の問題を踏まえて、路線バスの増便、路線増とあわせて、タクシー増車、運転手確保のためのタクシー業者への財政支援、廃止されてしまった熊谷駅へのシャトル500(料金500円)復活のための業者への財政支援が必要と求めました。
さらに昨年度から「お買い物クラブ」も始め、年度途中から運用を改善・充実してはいるものの、地域公共交通計画の再策定とあわせて、クルマに乗れない高齢者へのタクシー券の交付が必要と求めました。
市民生活部長は、地域公共交通計画の再策定は必用で現在準備中と答弁。路線バスの増便・路線増については、利用実績や人の流れなど調査したデータに基づいた検討が必要と答えました。
タクシー業者への財政支援については、タクシー増車や運転手の確保につながるなら研究したいと答弁。シャトル500については、利便性が高く惜しまれながら休止となった経緯があるとして、復活のための働きかけを継続すると答えました。
タクシー券については、これまでおうかがい市バスを基本としてきたものの、今後の高齢者人口の増加を踏まえると、さらに増車が必要となるが、市の経済的負担(効率性)ドライバー不足から限界が生まれると答弁。他市では、デマンドバスや路線バス、タクシー代補助などの組み合わせによる成功例もあるとして、研究したいと答えました。
市長は、公共交通計画の策定まで2年間かかるが、公共交通の充実は重要でスピードも求められると答弁。私の提案の中で実施可能なものは、計画策定中でも前向きに検討したいと答えました。
当面はおうかがい市バスを予約できない人へのタクシー券を
地域公共交通計画が策定されるまでの当面は、まず、おうかがい市バスの予約が取れない人、取りにくい人、創始した人たちのいる地域の人を対象にしたタクシー券を求めていきます。