日本共産党は、参院選基本政策「物価高騰から暮らしを守り、平和で希望が持てる新しい日本を」で、「最低賃金を時給1,500円、手取り月額20万円程度にすみやかに引き上げ、1,700円をめざします。地方格差をなくし全国一律最賃制を確立します」と掲げています。
6月18日付しんぶん赤旗の記事をお伝えします。
物価高超えて
全労連・加盟労組が各地で取り組む最低生計費試算調査では、これまで取り組んできた調査結果に近年の物価高騰分をふまえた再試算などを実施。各地で時給1,700~1,800円に達しています。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(特別集計、2023年)によると、1,500円未満の労働者が2022年集計の2,221万人から67万人増加し、一般労働者で8万人減少した一方、パート労働者は75万人増加しています。
石破茂内閣は、「骨太の方針」で「2020年代に最賃の全国平均1,500円」を掲げています。しかし、急激な物価高騰の中、このテンポでは国民の暮らしを守るには遅すぎます。
日本共産党、全労連・国民春闘共闘委員会がかかげる「いますぐ1,500円、めざせ1,700円」こそ、切実に求められています。
全国一律制に
最賃のもう一つの問題は地域間格差です。
日本では47都道府県をA、B、Cの3ランクに区分。これは中賃審が毎年の最賃改定で都道府県に格差をつけて示す目安の地域区分で、CランクはAランクより低い引き上げ額が示され、地域間格差が縮小しにくい要因になっています。
しかし昨年、地域間格差の拡大に対する批判が強まる中、中賃審は全国一律で50円引き上げる目安を答申。この目安を受けて各都道府県で審議する地方最低賃金審議会(地賃)のうち、B・Cランク地域では、目安額に大きく上積みする最賃額を次々決定し、徳島では34円上積みの84円に引き上げました。「地方の反乱」と呼ばれたこの動きで、最高額・東京の1,163円、最低額・秋田の951円となり、地域間格差は前年220円から212円に縮小。地域間格差是正に向けた地方の動きが強くなり始めています。
一方、深刻なのは一般労働者のうち1,500円未満労働者の全国平均が37%であるのに対して、Cランク13県では、軒並み50%を超えていること。Aランク6都府県は20%台から30%台前半で、最賃の地域間格差が一般労働者賃金の地域間格差にも暗い影をおとしています。
このもとで最賃額の低い地域からの人口流出が指摘されています。最賃額が高い地域は転入超過になる傾向が高く、低い地域では転出超過になる傾向が高いとされ、地域間格差が広がるほど、転入・転出の数字がさらに動く可能性があると指摘されています。
全国一律最賃制の実現、地域間格差の是正は、地域の労働力の確保、疲弊する地域経済の活性化につながるものです。
中小企業支援
最賃大幅引き上げの最大の課題は、労働者の7割が働く中小企業への賃上げ支援。岩手、徳島、奈良、群馬県などでは中小企業への直接支援を実施しています。
石破内閣の「骨太の方針」では、地方最低賃金審議会(地賃)で中央最低賃金審議会(中賃)の目安を超える引き上げが行われた場合、生産性向上のための政府補助金による重点的支援、交付金などを活用した都道府県の取り組みの後押しを打ち出しました。しかし、これまで実施されてきた「生産性向上」を掲げた枠組みは使い勝手が悪いと批判されてきたもの。さらに、どのような予算規模か、財源は何かも示されていません。
日本共産党は、500兆円超に達する大企業の内部留保に時限的に課税して、10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化することを提案。緊急に1,500円に引き上げるには、直接支援の抜本強化が求められています。
世界の動きは
世界的な物価高騰のもとで、欧米各国・地域では最賃の引き上げを継続。米国首都ワシントン州では2,542円、イギリス2,414円、ドイツ2,122円など2,000円台になっています。
また韓国は1,133円で、日本の平均1,055円を上回っています。
各国・地域が最賃引き上げをすすめる目的は、物価上昇に応じた引き上げ、労働者保護などがあります。とりわけイギリス政府の諮問機関である低賃金委員会は、物価上昇に伴う生活費の上昇は、低賃金世帯にとりわけ大きく影響したと分析。前年より6.7%引き上げを提案したことについて、この間の価格上昇分が解消されるわけではないなどを理由に、高い水準の改定案としたと説明しています。
